お兄ちゃんと放課後 ページ48
バレーのテストを終えたあと
お昼を食べて部活に少しだけ顔を出して
あくまでも『いつも通り』に過ごした
頭の中が賢二郎に言われた
【お返し】のことでいっぱいになっているなんて
誰かに知られるのが恥ずかしかったから
意地でもバレないように頑張った
本当なら今日は久しぶりにバレー部の手伝いは
最後までやるつもりだったけど
休憩の時に鳴り響いた携帯の着信音で
画面には｢家｣の文字
まだ小学生で携帯を持たない弟たちからの連絡だった
どうやら春樹が熱を出しているらしく
放課後まで耐えたもののすごく辛そうだから
早く帰ってきてくれと泣いている夏樹からの電話だった
賢二郎のLINEに『先に帰る』とだけ送って
監督とコーチと、3年生の皆さんにだけ挨拶をして
部活が始まって1時間も経たないうちに私は体育館を出た
見慣れた通学路を早足で歩いて
点滅し始めた信号に従って足を止めて
青になったからまた歩いて
家の途中にあるコンビニで買い物をして
見えてきた自分の家の玄関のドアを開けた
靴はもちろん乱雑に脱ぎ散らかされていて
変わりに私が揃えて自分も靴を脱いだ
ドアの音に反応して夏樹が半泣きで顔をだして
一人で頑張ったねと頭を撫でれば
安心したのかまた涙を流していた
ソファで寝毛布にくるまって眠っている春樹は
確かに顔が赤くて息も荒かった
不器用に前髪を少し挟んで貼られた冷えピタは
きっとお兄ちゃんを心配した夏樹が
不器用なりの優しさで貼ってあげたんだろうと察した
キッチンにたってお粥を作り
ゼリーとプリンを冷蔵庫で冷やしながら
未だに泣き続ける夏樹を抱き抱えて落ち着かせた
意外と忙しく動き回ったおかげで
賢二郎が帰ってくるまでの間に
雑念に押しつぶされ事もなくて助かった
眠っていた春樹を起こしてお粥を食べさせて
薬を飲ませたあと部屋に戻らせた
あ、いや…自力で戻れそうになかったから
私が抱っこして部屋まで運んだ
今日の夏樹の寝る部屋は
きっとお父さんとお母さんの部屋だろう
泣き疲れて目が腫れた夏樹に
コンビニで買ってきたシュークリームを食べさせていたら
満を持して玄関から扉の開く音がして
賢二郎が疲れた様子で帰ってきた
私も夏樹も小さい声でだけおかえりと言った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 477人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シオン(プロフ) - 夢主が東京で迷子になってナンパされてた所を、梟谷と音駒に助けて貰う話が見たいです！ (1月8日 1時) (
レス) @page38 id: b41969ae61 (このIDを非表示/違反報告)
春夏秋冬(プロフ) - けんじろと夢主が入れ替わって１日ほど過ごすのを見たいです (1月8日 0時) (レス) @page38 id: 5081c5e530 (このIDを非表示/違反報告)
bjbk956fw8(プロフ) - 多分流れちゃったのでもう1回送ります！賢二郎を看病する夢主が見たいです！ (1月8日 0時) (レス) @page38 id: ef1818b905 (このIDを非表示/違反報告)
ミラコ - リクエストで、夢主が幼児化しちゃう(その逆も)お話が見たいです！沢山のリクエストに応えてるので大変だとは思いますがよろしくお願いいたします！(これからも応援してます！) (1月7日 19時) (レス) id: 4b0e417867 (このIDを非表示/違反報告)
Min(プロフ) - 味の素の施設がいいです。お願いします🙏🙏 (1月7日 16時) (レス) id: 91248d5c0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ますもも | 作成日時：2023年12月17日 0時
