お兄ちゃんと妹 3 【白布賢二郎】

番外編と新年 ページ32

　
　
　
　
｢……Aねーちゃん寝てる？｣




｢……Aねーちゃんジャンプは？｣




｢こいつはお子様だから遅くまで起きられないの｣




｢ぅるさい、おきてるし｣




｢ろれつ？回ってない！｣




｢ろれつ変だよ！｣




｢ほら言われてんぞオネエチャン｣




｢ねむく、ないし｣






現在時刻は23:09




あと少しで新年を迎える




けど私にはクリアしたい毎年の課題がある




それは…






｢ことしこそ……おきてるってきめたの！｣




｢眠いなら寝てろよ｣




｢ねむくない｣




｢喋り方が春樹たちより幼いんだよ｣




｢わたしのおとーと、は…！おとなっぽいの！｣




｢大人っぽいやつは毎日泥だらけになってこない｣




｢も…うざい！話しかけないで！｣




｢あ、ねーちゃん不機嫌になった｣




｢ねーちゃんご機嫌ナナメだね｣




｢寝ても起こしてやらないからな｣




｢ねないもん｣






毎年の課題




それは弟たちでさえ起きている夜中に




私はどうしても起きていられないこと




小さい時から気が付いたら寝ていて




次に目を覚ますのは決まって朝日が昇った後




たった1歳しか変わらないのに




賢二郎が寝落ちしたことは無いから悔しい






｢…とにかく、今年はねないから。｣




｢ほーう？せいぜい頑張れ｣






そう言い張ったは言いものの




今にも寝落ちしそうなほど眠たくて




視界はぼやけ始めている




賢二郎はソファを譲らなかった腹いせなのか




部屋からブランケットを取ってきて




お腹までかけてきた




それどころかいつもならしないくせに




幼稚園の時によくしてくれた




お腹をトントンして眠たくなるやつを




腹立つにやにやした顔でしてきている




やめろと手を叩いても




眠たい身体では力があまり入らない






｢A、眠いなら寝てろよ｣




｢ねぅくない｣




｢なんて？｣




｢ねむくない！｣




｢はいはい寝ろ寝ろ｣






昔は怖かったはずの暗闇は




今では寝るのに必須な条件になった




賢二郎の私より少し大きな手のひらが




私の視界を塞ぐから




最初はやめてと喋れていたのに




気が付いた時には自分の部屋のベッドの中で




隣にはトントンを続けていたのか




私のお腹に腕を乗せたまま眠る賢二郎がいた




普段なら重たいってどかしたかもしれないけど




新年に免じてそのままにしてあげた
　
　
　
　
　

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