お兄ちゃんと妹 3 【白布賢二郎】

お兄ちゃんとスキ ページ12

　
　
　
　
　
｢Aちゃーん！｣




｢あ、天童さん。試合お疲れ様でした｣




｢今日のおれ150点だったんだよ〜？Aちゃんのゼリーのおかげだね！｣




｢そんなわけないじゃないですか笑｣






可愛い弟に対しての嫉妬に嫌気が差して




思わず俯いてしまっていた時に




天童さんが残ったであろうゼリーを差し出しながら




声をかけてくれた




そのおかげか少し心も晴れた気がして




封を開けながら兄たちをチラリと盗み見ると




夏樹は川西先輩に




春樹は賢二郎に抱っこ状態で




馬鹿みたいに喜んでいた




何故か心にグサリときて




何故かまた心が暗くなって




何故か見たくなくて




また思わず目を逸らした




でも隣にいるのは




鈍感そうな牛島さんや五色くんではなく




とにかく察しがよすぎる天童さんな訳だから




やらかした、と思った時にはもう遅かった






｢Aちゃんさ、前から思ってたけど…｣




｢……なんですか｣




｢賢二郎のことスキだよね｣




｢…は｣






最初はブラコン的な意味かと思って




何言ってるんですか、と怒ろうとした




けれど




天童さんの顔はあまりにも真剣で




家族愛のスキについて言ってる訳では無いことに




気が付いてしまった




でも私は家族愛以外のスキなんて知らないから




顔を赤くする以外の反応なんて出来なくて




天童さんの｢やっぱりな｣って顔と




否定しなきゃいけないハズの気持ちなのに




やたら心にストンと落ちてくる感覚に




余計に混乱するばかりだった
　
　
　









　
　
　
　
　









｢なぁ賢二郎、Aちゃんなんか顔赤いけど大丈夫？｣




｢……知らね｣






賢二郎の心にも




私と同じような暗いモノが生まれてるなんて




知るわけもなかった
　
　
　
　
　
　

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