お兄ちゃんと妹 3 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと甘くて苦い ページ11

　
　
　
　
｢にいちゃーん！｣




｢おつかれさま！｣




｢な、は！？なんでここにいるんだよ！Aは！？｣




｢……トイレ！｣




｢……帰った！｣




｢｢おい、合わせろよ！｣｣




｢…何しに来たんだよ｣






輪の中にズカズカと入っていった弟たちは




川西先輩の背中を押していた賢二郎に抱きついて




お菓子をねだるときのように甘え始めた




賢二郎は汗かいてるからか




若干離れろという圧が出ているけど




口に出したりするつもりはないみたいだ






｢あれ、噂の弟くんジャーン！｣




｢なんだ？また差し入れか？｣




｢｢こんにちは！！｣｣




｢おう、こんにちは。兄貴と違って元気で愛想いいな！｣




｢ちょ、瀬見さん。俺だって愛想いいですよ｣




｢どこがだよ｣




｢……んで、お前ら揃ってなんの用だよ。｣




｢そーゆーとこだっ！！｣






身長差が可愛いなぁなんて思っていたら




珍しく双子の頭を優しく撫でながら




聞く耳を持った賢二郎




こんなの家でもなかなか見ない




双子もそれに気がついて




行けると思ったのかやたら可愛こぶった声で言った






｢他の試合もみていーい？｣




｢にーちゃんの学校強すぎてすぐ終わったから…｣






夏樹はうるうると目を潤ませていて




春樹はめちゃくちゃ可愛い上目遣いをしている




私の時より可愛くオネダリしてるじゃんか！！




そう言いたい気持ちは我慢した




賢二郎もポーカーフェイスが珍しく崩れてて




優しく微笑んだあと頭を撫でながら言った






｢ねーちゃんの言うこと聞けるならな。にーちゃんはこの後学校戻ってミーティングあるから。｣




｢…………その言葉…っ｣








＿＿A、いい子で待てる？

＿＿おにーちゃんどこいくの、？

＿＿ただのおつかい。すぐ戻るよ

＿＿A、ひとりぼっちで待つの？

＿＿一緒に行く？俺の言うこと聞けるならだけど

＿＿！！！うん！いく！






あぁ嫌だ




また思い出してしまった




甘くて苦くて




寂しくなるような暖かくなるような思い出




こんなの思い出してる自分が嫌になる




けど




もっと嫌なのは






｢(……わたしのお兄ちゃん、だったのに)｣






自分でも驚くほど気味の悪い醜い嫉妬を




弟に対して感じた自分が




何よりも嫌だ
　
　
　
　
　
　

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