私は稀有な異能の子 ＊2＊【文スト】太宰治

責任 ページ20

ギュ……


｢かはっ、貴様、何を……｣





太｢強気な君も好きだ。でも……


……


やっぱり私は、


本来のAが好きなんだ｣


｢は……｣



太｢だから、A、戻ってきてくれ給えよ…｣



太宰の腕に力が入る。


その時、我の身体の内側から
違う人物が出てきたような気がした。


｢嗚呼、我はこの身体の本来の主では
無いのだな……｣ﾎﾞｿｯ



……ｶﾁｯ



うん。太宰さん、声、聞こえたよ。

私はギュッと太宰さんを抱き締め返す。


太｢え……、A？｣

｢あ、戻ってこれた…？｣



"我の負けだな"


え、誰？
私の頭の中に響く声。

声の主を確かめる前に太宰さんに
肩を持たれガクンガクンと前後に
揺さぶられる。


｢だ、太宰さんっ、私です｣

太｢ほんとに戻ったんだね……！？｣

｢は、はい……｣


目の前にはボロボロの太宰さん。
どうしてこんなにボロボロなの…？

すると視界の左にある人物が写った。


｢あ、おばちゃん……？｣

お｢どうして解けだんだよ……！？｣

｢え……？｣

お｢お前を引き取った時から薄々
神としての素質を感じたから、ああやって
匿ってやったんだ……！！なのに、なのに…｣

｢おばちゃん……？一体何を……｣

お｢ははは、まぁいいさ！！！
なぁA、見てみなさいよ！
この有様、全て貴女の仕業なのよ！？｣


太宰さんの背後に目をやると、
かつては綺麗な場所であっただろう建物が
原型を留めないほどの瓦礫と化していた。

そしてその瓦礫の下には、人がいる。


｢え、え……、そんなわけ……｣

お｢アンタの異能は人を不幸にする！！！｣


大きな瓦礫に挟まれた人々から
微かながらに呻き声が聞こえる。

私は……なんていうことを……


太｢何を言っているんだ！
Aのせいじゃないだろ！
貴女がAを洗脳したんじゃないか！｣

お｢聞いて驚け、私はただ洗脳しただけ。
このような悲惨な事になるのは全て
本人次第なんだよ……！｣

｢あ、……あ｣


言葉が思うようにできない。
呼吸すらもするのが難しくなってきた。


お｢ほら、貴女を救いに来た
お仲間を傷つけたのも、全てお前の仕業！

アンタの異能、それは人を傷つける能力。
それが天命なのさ！｣


はっとして横を見ると探偵社の皆だけでなく、
ポートマフィアの人たちも傷ついている。


太｢A！聞く耳を持っちゃ駄目だ！｣


私は気がつけば太宰さんの手を振りほどき、
外へと駆け出していた。

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