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65日 ページ15

淡々と日にちが過ぎていく。
夕陽やお母さんお父さん、たまに爺さんとかもお見舞いに来てくれる。

日にちが過ぎて行くごとに身体はどんどん蝕まれて行く。

呼吸すらもままならないくらい苦しくて、口から鉄のような味がする。
意識もやっとの思いでの繋ぎつなぎ。

そろそろだって分かっていてもこの想いを消せない。

「なぁっ!約束…忘れるなよッ…A…」

「頑張るんじゃ!まだ若いんじゃ!」

あのお母さんですら大泣きする。
そんだけ酷くなってきてるって事だ。

起きてる時間より意識が保てない時間の方が多くなった。

意識がない時は闇の中を浸すら走り回って出口を探してる感じの…。

「嫌だ…ッ、Aはまだ…十五だ…十五なんだ」

縋るような声で手を合わせ祈り続ける。
余命宣告まで期間はあとどれくらい残っている?

頭がぼわぼわと何かに侵害されてそれすらも分からない。

「A…頑張りなさいッ…私、貴方に何一つお母さんらしいことしてないわっ」

お母さんの懺悔の声。

「悪かった…もう少し、お前を幸せにしてやりたい…ッ」

お父さんの温かい言葉。

「寒くないか…ッ?ほら、冬が来たんだ…誕生日まで、あと少しなんだぞぉっ」

夕陽の優しい気遣い。

「夕陽くんの言う通りじゃ!もう少しなんじゃ!」

爺さんの励まし。

もう僕に聞こえてくるのは天使と悪魔の囁き。

『辛いなら早く楽になればいい』
『こんなに思ってくれる人がいるんだから最後まで頑張れ』

こんな声の数々が耳近くで聞こえてくるんだ。
死神が今、僕の近くにいて僕を見て嘲笑ってるのかな?

楽になりたい…。

そんな事を思っても、僕を現実に引きずり戻す。

『約束を破りたくない』

無理なのに、それを分かっているのに約束は僕を縛る。

恐ろしくて、怖い些細な約束事。

「A…そばに居てくれよッ!」

夕陽の言葉が聞こえる。
だから僕は今日も振り絞りながら頑張る。

約束に囚われ続けながら。

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明月浅葱(プロフ) - めっちゃ泣きました! 俺、病系好きなんであまり泣かないんですが、こんなに泣いたの初めてです! (2022年11月13日 16時) (レス) @page30 id: 2a22133648 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 目が晴れそうなほど泣いてしまいました。素敵なお話を完結させてくださりありがとうございます! (2021年12月21日 0時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 涙が止まらない位感動しました。 (2016年9月18日 14時) (レス) id: a56b4ade72 (このIDを非表示/違反報告)
桃崎星(プロフ) - 涙が止まらん (2016年2月22日 22時) (レス) id: 308057f239 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ。 - 久しぶりに小説で泣きました…。それはもうボロボロと(笑 とても素敵なお話でした! (2015年9月9日 14時) (レス) id: 76adb82bc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:堕天使の使い手 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年7月13日 0時

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