一緒にいようね…ズット (ページ16)

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ぱーと 16 ページ16

休憩を取ったからか、さっきよりは動きが良くなっていた。

元の感覚を早く取り戻したい。

守ってくれた蓮のためにも、早く元通りのプレーにしたい。

「…レギュラーなだけあんじゃん」

「凄いな、あの先輩…確か名前はAだっけ？」

「確かあの人、去年一年生でレギュラーになって試合に出たんだって」

名前も知らない後輩たちが俺の話をしている。

褒められたのは嬉しいけど、少し複雑な気分になる。

「流石Aだな、羨ましいぜ」

同じ練習をしていた加賀が隣で茶化す。

「この調子だ、頑張れよ」

相沢先輩が俺の背中をぽんっと軽く叩く。

だけど俺は後輩よりも、

加賀よりも、

相沢先輩よりも気になって仕方が無い事があった。

「遅いな、蓮が戻ってくるの…」

監督が時計を見ながら気にしてる。

なんだかイヤーな予感がする。

双子の勘なのかな、ただ単に気にし過ぎなのかな。

サッカーは好きだけど、その練習よりも蓮が気になって仕方ない。

「加賀…俺、やっぱり……」

加賀は足を止めた。

加賀は俺の服の裾を掴んで、行かせないようにしているみたいだった。

「ごめん…加賀、やっぱり蓮を見てくるよ」

愛想笑いを浮かべたけど、ちっともいい顔なんてしない。

「行くなよ…それじゃあ、蓮をマネージャーにした意味…ないじゃんかよ」

縋り付くような加賀の顔や手を見てるとある事を思い出す。

『ずっと…一緒だから……』

事故にあった時、今でも繊細に覚えてる蓮の言葉。

そうだ。
ずっと一緒だって約束したじゃないか。

一緒に生まれて、

殆ど一緒に生きてきたけれど、

双子だからと言って、

いつまでも一緒になれる訳がない。

そんなの、誰が決めた？

俺はあの時、蓮と約束したんだ。

ずっとそばにいるって、置いていかないって。