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佐「……って、だから何でそんな楠さんのライブを、俺と滝沢くんで見に来てるんですか!?」
滝「ああ、のっきーね?」
佐「へ?」
滝「のっきー。グループ時代からのあだ名」
佐「…えぇぇ……」
滝「あ、のっきー来たよ、ほら、」
改めて理由を聞き出そうとしたけど、全然取り合ってくれず…。
おーい、なんて、トロッコに乗って俺達が座る関係者席にも回ってきた彼女に向かって、呑気に手を振ってる滝沢くん。
あぁ…完全に遊ばれてるな、俺。
諦めてお手上げ状態になったら、近付いてきてたトロッコが、とうとう俺らの前までやってくる。
あー、あれが…
佐「……のっきー、?」
その笑顔をぼんやりと眺めながら、ぼそ、と何となく口にしてみた瞬間、
「〜♪、」
佐「……あ、」
目が合った。
目が合って、にこっ、と、指を差さされた。
…そして、
佐「…へっ……?」
ウインク、した、
…え、俺に、向かって?
一瞬のその1つ1つの動作が、スローモーションのようにゆっくりゆっくり目の前を流れていって…
「…〜♪」
佐「……」
滝「あれ?なんか今、佐久間と目合ってなかった?」
…まるで、名前を呼んだ俺の声が届いて、「見つけた!」とでも言うように。
本当に嬉しそうに、幸せそうに笑った顔が、焼き付いて忘れられなくて。
ここが関係者席ということも忘れて、1人の観客として見つけてもらったような、そんな気にさせられていた。
滝「…やっぱすごいねーあの子。関係者席にも100%アイドルでやり切ってんだね」
佐「…」
滝「…あれ、佐久間?笑」
もうとっくに彼女が遠くへ過ぎ去った時…
俺は時間差で、ときめいてしまっていた。
さっきまでは、悲しいとすら思ってたのに。
撃ち抜かれたあの瞬間は、キラキラの光にしか見えなくて、眩しくて、あったかくて。
ドキドキとした高揚感は、どんどん強くなっていって…
滝「……楠A…やっぱりアリかもなぁ、」
滝沢くんのそんな呟きすら、聞き逃して夢中になってしまうほどの威力だった。
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黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» いつもありがとうございます!お仕事お疲れ様です…!ちょっとでも癒しになってくれたら私も嬉しいです(´˘`)♡ 良いお年をお迎えくださいませ〜! (2022年12月30日 17時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - 更新ありがとうございます(^^)仕事の休憩中に更新通知が来て癒やされたくて飛びついて読ませてもらいました!さくまさんとのお話で癒やしパワー倍増でした!ありがとうございます。良いお年をお迎えください(*^^*) (2022年12月30日 16時) (レス) @page36 id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» ありがとうございます!そんな!その一度がとっても嬉しいです!コメントもありがとうございます*ˊᵕˋ* (2022年12月17日 16時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - 更新ありがとうございます(*^^*)どうして♡や投票は一度しか送れないのか…と悲しくなっちゃう位毎回楽しませてもらってますー! (2022年12月16日 23時) (レス) @page21 id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» ありがとうございます!(^^) 嬉しいです〜〜いつも素敵な感想送ってくださるので語彙力ありまくりですよ( ˶'ᵕ'˶)!笑 またこれからも楽しんでもらえたら嬉しいです! (2022年11月29日 17時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒葡萄 | 作成日時:2022年11月25日 7時