紅一点、ちょっとクールでかなり沼。３【Snow Man】

夢現（×紫） ページ22

(Side-紫)





Aが楽屋のソファに体を預けて眠っていた。


膝にはブランケット、上半身には誰かのアウターが掛けられてて、恐らくこれは、阿部ちゃんや舘さん辺りからの「寝かせてあげて」ってメッセージ。


だから起こすわけでもなく、隣にそっと腰掛ける。


気付かれないように覗き込んだ寝顔はあどけなくて、いつもより何倍も幼く見えた。

…そりゃできるだけ寝かしといてやりたくもなるわ。

と親心のような気持ちでふっと笑みがこぼれると、もぞ、と隣で動きが。


あれ、起きた？










「……」










ゆっくり、半分くらい瞼を開けて、そのままぼーっと一点を見つめるA。


数秒してから、周りを見渡し始めて、掛けられたアウターやブランケットに気付いたり、

…隣に座る俺に気付いて「あ…」と声漏らしたり。


その一部始終を眺めながら、かわいーな、と思って微笑みかけると、Aは黙って俺を見つめた。

…いや、正確には、視線が俺にあるだけで、違うこと考えてるっぽいけど。










深「…A？」

「……ん…？」

深「どーした、」

「…いや、夢に……皆が、出てきて、」

深「みんな？」










視線が少し落ちて、俺から外れた。


…皆って、










「あ、…前の、メンバーの、」

深「…あー、皆が、どした？」

「…夢で……」










フェードアウトしていく言葉の続きを、頭の中のリプレイに繋げるように、黙り込んでしまうから。










深「ん…？……怖いこと、あった？」










少し心配になって優しく聞くと、Aは首を横に振った。










「……一緒に、…4人で一緒に、歌ってた」

深「…」

「…すごい…しあわせな、夢だった……」










……その幸せな夢が、何よりも残酷だってこと、

夢から覚めた時、目の前にいてほしかったのはきっと俺じゃなかったこと…

お前の中の1番は、もうずっと変えられないこと、


全部、分かってる。

俺は常に分かってる、つもりでいる。


それでも不意にこうやって、グサリと刺されたように痛みが走る。





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