・3 ページ15
.
「…ひかる、ここエレベーター」
岩「分かってるよ。でもA、」
「…」
岩「……お願いだからそんなこと言わないで?」
「…ひーくん、声泣きそう、」
岩「泣いてないよ。でも嫌だ。そうやって言われるの」
「…」
岩「彼女じゃないし、普通に康二から連絡来てただけだから。」
「…ふーん…?」
岩「……ふーんじゃないでしょ、そっちから言ってきといて」
ぎゅうう、と腕に力が入って圧迫されていく。
「…苦しそう、ひかる」
岩「Aのせい」
…苦しいのは私の方だ、こんなガッシリした腕で身体を締め付けられたら、呼吸もしにくい。
何をそんなに嫌がるの?とか、今更そんな不毛なこと、話さないけど。
「……ごめん、嫌だったんだね」
岩「うん。やだ」
「嫌なこと言って、ごめん。ごめんね照」
広い背にとんとん、と優しく触れれば、少し圧迫感が和らぐ。
岩「……俺も、ごめん」
チーン、と音が鳴って、1階に到着したエレベーター。
扉が開くのと同時に、身体はすっと離れていった。
私も何事も無かったかのように降りようとすれば、
渡「…ちょ、お前ら何してんの?」
「え?」
向「やっぱり、照兄とAやった…っ!」
岩「あ、こーじ。」
そこには、来るのが遅い私達を待ち構えるようにして立っていた、翔太と康二と、ふっかさん。
深「あのー…君たち、あれ見てみて?」
「「え?」」
ふっかさんが指差す方を見上げると…
エレベーターの扉の上、四角いモニター。
…ばっちり、エレベーターの中の様子が映されている。
渡「お前ら抱き合ってんのめちゃくちゃ映ってたぞ。」
「あ〜……まじかぁ…」
岩「……やば」
深「いや冷静だな」
向「まぁまぁまぁ、大丈夫ちゃう?俺らしか見てなかったし」
渡「お前ら…なんか始まんのかと思ったよ」
「何が?」
向「ドキドキしたわ…」
「何で?」
深「…照、Aに何か言われた?笑」
岩「……別に」
何も始まらないよ。
ただちょっと、軽い悪ふざけのつもりが、重たい良心を引き出してしまっただけ。
.
2657人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» いつもありがとうございます!お仕事お疲れ様です…!ちょっとでも癒しになってくれたら私も嬉しいです(´˘`)♡ 良いお年をお迎えくださいませ〜! (2022年12月30日 17時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - 更新ありがとうございます(^^)仕事の休憩中に更新通知が来て癒やされたくて飛びついて読ませてもらいました!さくまさんとのお話で癒やしパワー倍増でした!ありがとうございます。良いお年をお迎えください(*^^*) (2022年12月30日 16時) (レス) @page36 id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» ありがとうございます!そんな!その一度がとっても嬉しいです!コメントもありがとうございます*ˊᵕˋ* (2022年12月17日 16時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - 更新ありがとうございます(*^^*)どうして♡や投票は一度しか送れないのか…と悲しくなっちゃう位毎回楽しませてもらってますー! (2022年12月16日 23時) (レス) @page21 id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» ありがとうございます!(^^) 嬉しいです〜〜いつも素敵な感想送ってくださるので語彙力ありまくりですよ( ˶'ᵕ'˶)!笑 またこれからも楽しんでもらえたら嬉しいです! (2022年11月29日 17時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒葡萄 | 作成日時:2022年11月25日 7時