いっそのこと（×橙） ページ19
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「…」
向「ねぇA、もう嫌や、俺もう無理…っ」
とうとうこぼれ落ちた涙も気にせずに、苦しそうに私を見つめて地団駄を踏む。
私は、そんな彼を冷静な目で眺めていた。
「…康二、」
向「もう嫌…全部、いやっ…辛い、しんどい、も…やめたいぃ、…うぅ、A…っ！」
「康二、息吸って。ゆっくり」
向「できひん！A！」
小さな子供みたいに泣いて、ひたすらに私の名前を呼んで求める。
何を求められているのだろうか。
やはり、助けだろうか。
向「限界やねん、俺もう、Aしかおれへん…っ」
「私だけじゃないよ。他にもたくさんの人がいる」
向「おれへんのっ！！」
「ねぇ康二、どうしたの」
向「皆おらんくなったやん！もう…俺には、Aしか…っ！…Aしかいらん、Aさえおってくれたら、それでええから…それで俺、がんばるから…っ」
「…」
至って平静を保って、涙声の康二のその心の中を見つめてた。
縋るように両肩をガシッと掴まれても、その力強さは私に何も与えはしない。
彼にだけ、きっと意味があるのだ。
そんな力よりも、言葉よりも、息継ぎよりも涙よりも。
私には、信じたいものがあった。
「康二…」
向「…やめて、その目…そんな冷たい顔、せんとってや…」
「…」
向「嫌や…っ、嫌や嫌や！嫌！Aまで…っ！Aまで裏切るんや！」
「裏切ってないよ」
向「絶対…絶対そんなことさせへん、Aはずっと俺のそばにいる、俺のとこにいてくれるやんな…？なぁ…！」
「いるよ、だから私、今もずっとここにおるやん」
そう言ってるのに、掴んだ肩を必死に揺らしながら流れっぱなしの涙を更に溢れさせて、たまらず首を横に振る康二。
それでも無反応な私を雑に自分の方へ引き寄せて、捕まえたと言わんばかりに抱き締めて。
向「お願い…っ、お願いA、全部…全部忘れさして…」
「康二、それはできないよ」
向「もうこうなったらいっそのこと…全部、忘れてしまいたい…」
「…自分が何言ってるか、分かってんの？」
向「なぁ、A…おねがい、」
弱々しくも誘惑するような甘さの残る声が、耳に直接溶け込んでくる。
A。おねがい。俺の言う通りにして。
こいつの態度全部がそう言ってる。
君が何を望んでるのかは、大体察しがつく。
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黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» わ〜ありがとうございます(´˘`*)♡ そうだったんですね！楽しんでいただけて良かったです！.ˬ.)" (2022年11月21日 21時) (
レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - ぴんくさん担なので終始口元ニヤニヤで読んでしまいました！黒葡萄さんが書かれるメンバーさん毎回本当に可愛いですね♡更新ありがとうございます(*^^*) (2022年11月21日 1時) (レス) id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» いつもありがとうございます(ˊ˘ˋ*)♡ 毎回そうして伝えてくださって、本当に嬉しくてありがたい限りです！今後も楽しんでお読み頂けたら幸いです¨̮⃝ (2022年11月14日 20時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - めめのドラマを観て泣いて、めめに慰めてもらう。全めぐろ担の夢ですね(*^^*)今回の更新も楽しく読ませていただきました。ありがとうございます♪好きなものは好きー！って伝えたい派なのでコメントしつこかったらすみませんm(__)m (2022年11月14日 2時) (レス) @page46 id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» こちらこそコメントありがとうございます！キュンキュンしていただけて本望です！笑、いつも本当にありがとうございます☺️ (2022年11月7日 23時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2022年10月16日 16時
