紅一点、ちょっとクールでかなり沼。【Snow Man】

･５ ページ43

.





渡「…はー美味かったー」

「美味しかった、…渡辺くん、ごちそうさま。」

渡「あー…うん、それは、全然いいんだけどさ、」

「…ん…？」

渡「……"渡辺くん"って、やめない？」

「……んふ、確かに？」










初めて2人で歩く夜道。

一緒にラーメン食って、少しはスムーズに話せるようになって。


ずっと気になってたことを、ついに切り出した。


ふっかさんにさっくんに涼太、ひーくんあべちゃんと来て…

俺だけまだ、苗字に君付け。










「…やめていいの？」

渡「…やめよう。俺も、"楠"やめるから」










他の奴らが呼ぶ度に、密かに引っ掛かってた、その名前。










渡「…Aって、呼ぶから」

「…分かった。じゃあ私は…」

渡「翔太でいいよ」

「…翔太、」

渡「うん、」










お互いに、照れと可笑しさが混ざった微妙な顔で笑い合う。

…やば、付き合いたてのカップルじゃん。










渡「……明日アイツら、びっくりするだろうな」

「ふふ…絶対 "どうした！？" って聞かれるよ」

渡「うわっ、…何があったかとか、言わないでおこうぜ」

「ん、それは…私も賛成」










はっきりとはしないけど、何かが通じ合って2人で笑った。



…ようやく雪が解け出した頃に、浮かんでくる言葉は「ごめんね」でも無くて。










渡「…これからよろしくな、A」

「…よろしく、翔太」










凍っていた時間よりももっともっと長い、この先の未来に込めた、期待だった。





.

のきこじの運命（過去編）→←･４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す