ニュース ページ9
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〈Tadayoshi side〉
安「大倉！ニュース！」
大「へ？」
朝から声をかけてきたヤスに、
思いっきり気の抜けた返事をしてしまった。
でも仕方ないと思う。
文化祭の間は
彼氏と良い感じのAを遠巻きに見て、
花火で会いに行こうとしたらおらんくなってて、
そして休み明けの昨日、
ようやく話せると思ったらAは休み。
こんなむずがゆい状況続いてたら、
そら朝なんてまともに起きてられへん。
しかし、ヤスのニュースは思いの外
衝撃的ななもんやった。
安「Aちゃん、今日学校来てる！」
大「え、ほんまに？」
安「でもそれだけちゃうで。Aちゃんの髪が…」
大「髪？」
ヤスが言いかけた時、
「…あれ？A！？」
「どうしたんその髪！」
女子の声が聞こえて来て、
そこにはずっと見たかったAの姿。
だけど、すぐに気付いた。
大「黒髪…！？」
安「そう…それ」
最後に見たAのあの明るい色から、
一気に暗い色に変わっていた。
艶がより一層分かりやすくなったような、
もう、ほぼ黒髪。
不思議なもんで、たったそれだけのことで
何もかも違うように見える。
丸「これは…あかん」
大「おまっ、いつの間におんねん！」
安「気配消すん上手いなぁ」
いつものごとく、にゅっと入ってきたマルが、
恍惚とした表情でAに視線を奪われたまま話す。
丸「明るめの髪も良かったけど…
これはこれで、美人がぐっと際立って…」
安「なんかぶつぶつ言うてるわ」
大「ふんっ、にわかが。
Aかて初期は黒髪やったわ」
安「入学当初のこと初期って言うんやめて？」
でも…確かに、
最初に会った時の黒髪とも少し違くて。
何だか急に大人っぽくなったような、
落ち着いてしまったような。
元々の顔の綺麗さが強調されて、
ふとした瞬間に見せる表情も儚く感じる。
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2020年2月7日 16時
