ヘンカ ページ12
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〈Ryo side〉
彼女の違和感に気付いていながら
聞き出せなかった挙句、
最終的には何も守れずにフラれて終わり。
もう、何もかもがダサすぎて、
誰かに話す気にもなれなかった。
何があったのか分からんくても良い、
ただAにあんな顔をさせたくなかった。
ごめんなんて、好きな人に謝らせるような
しょうもない男になりたくなかった。
でも、じゃあどうすればよかったのか、
あの時自分に何ができたのか、
そんな勇気がどこにあったのか…
考えるだけ無駄やった。
どんだけ気分が落ち込んでも、事実は変わらない。
文化祭明けの学校に行ってもAの姿は無くて、
だけどそれにホッとするのは一瞬だけで、
あとはずっと心配が募るばかり。
ようやく今日、学校に来てくれたかと思えば、
あの時の不安な瞳の色を纏ったかのように、
やけに深く澄んだ黒髪を風になびかせていた。
何があったのか。
周りが囁くようになってもまだ、
俺には知る度胸がなかった。
安《りょお〜
安《Aちゃんと何かあった？
錦「…」
…この学校に転入してきて、
もしかすると一番早く仲良くなった安田章大。
後から噂好きな奴って聞いて、
普通やったら嫌になるけど
何故だかそれでも仲良くしてたいと思った。
その章ちゃんにすら、隠してたこと。
誰にも話せなくなった今、
なんとなく、もうこぼしてしまいたくなる。
でも俺にとっては不運なことに、
章ちゃんは大倉の奴と特に仲が良い。
そのうえゴシップ大好きやし。
でも、でも…
安《昨日も元気なかったし心配っ
安《あ、勝手に元気ないと思ってるだけやけど…
安《何か話したかったら、言うて！
…え、Aの変化やなくて？
俺の様子見て言うてきてる…？
安《もちろんそん時は取材やなくて相談として！！
ね？と何かのキャラクターが首を傾けたスタンプ。
…自分ばっかり表面的なことしか見えてなくて、
呆れそうになる。
そんな薄っぺらい人間ばっかりやないよな。
ちゃんと話して、
Aのことだって、目逸らさずに向き合って。
どんなAでも
もうとっくに好きになってしまったから、
どうしようもない。
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2020年2月7日 16時
