ハナビ ページ3
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ドーン
パラパラパラ…
「わー綺麗ー」
錦「思ってないやん」
「いや思ってるよ？
学校の文化祭にしてはまぁまぁの規模やなって」
錦「思ってへんやんけ、笑」
「ええの。こういうのは気持ちの問題やから、笑」
錦「ふーん…今の気持ちは？」
「最高やで？」
あっという間に終わりを迎える文化祭。
誰もいない教室に、
バレないように電気つけないまま
二人きりで窓から花火を見てるなんて。
向こうの方から、
後夜祭で盛り上がってる人たちの騒ぎ声が
遠く聞こえてくる。
…普通の学校生活ならまだしも。
文化祭って、一緒にいるべき人と
おらなあかん時間なのかなって思う。
やから彼氏である亮ちゃんと
こうして一緒におることは自然で、
きっとただのクラスメイトでしかない忠義と
わけもなく一緒におるのは不自然で。
今のこの状態は多分、何も間違ってない。
はずやのに…。
無駄に華やかな花火は、
でっかく開いては呆気なく散っていくだけ。
いくら咲かせても、キリがない。
錦「A、」
「なに…？」
錦「…ごめん、」
そっと、唇に触れる甘い味。
だけどどこかに苦味が隠されたような、
切なくて、優しいキス。
…「ごめん」って、何が？
どうしてそんな顔したの？
すべての疑問を塞ぎ込んでしまうように、
ただ大人しく亮ちゃんに合わせた。
こんな間だって、花火は繰り返す。
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2020年2月7日 16時
