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それからどれくらいの間、俯いたまま表情の読み取れない楠を見つめていただろう。
佐「……のっきー…」
渡「のっきー？」
端の方で心を奪われたように何かを呟いた佐久間と、それを怪訝そうな顔で聞き返す翔太の声にハッとした時、
画面の中の彼女は再び顔を上げた。
「……自分勝手で、本っ当に…、ごめんなさい」
潤んだ瞳はすぐに伏せられて、深々と頭を下げる。
そんな彼女に、会場中からすぐに励ましの声が上がる、けど。
『…これでファンの人達に会えるのも、最後になるかもしれないから』
俺は覚悟を決めていた楠の言葉を思い出して、思わず自分を重ねてしまった。
＿＿たとえどんな形になろうと、絶対に最後まで守り抜いて見せる。
だけど、それができなくなった時…自分の存在なんて、意味が無い。
両極端で、逃げ場の無い責任感。
どこかにあるはずの、自分の素直な気持ちとの兼ね合い。
…彼女も、葛藤して、それでもひとり前に立って、その小さな背中で、後ろにある大切なものを守り続けてきたのだろうか。
「…私は、こうして声を届けてくださって、こんな所までついてきてくださった皆さんがいてくれて、本当に…幸せでした。
心から、感謝しています。
……ありがとうございました」
もう一度深くお辞儀をして、客席からは歓声と拍手が鳴り響く。
…まるで本当に最後みたいな挨拶だ。
そのまま、ソロとしてはラストの1曲が流れ始めて…俺らはいよいよ、この後のサプライズ登場に備えて移動を始める。
楠が歌い終わって、最後にもう一度挨拶だけして、
ステージをはけると猛スピードで着替えに向かって行く。
それを待ちながら舞台裏に控えていると、
…ライブ的にはもう終わりの空気が漂っているはずなのに、それでもまたすぐ始まるアンコールの声。
そんな中、俺達と揃いの衣装を身にまとって戻って来た楠を見て…
もう、戻れないと確信する。
この身にたった1つ、守りたかったはずの幻想を抱いて、わずかな望みをかけてここへやって来た楠。
その彼女を前に、俺は今まで…何をしてたんだろう。
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黒葡萄(プロフ) - スノーウイさん» コメントありがとうございます！ヒロインのことを言っていただけるなんてとっても嬉しいです(*´˘`*)♡ お気遣いもありがとうございます、のんびりですが頑張ります！ (7月8日 16時) (
レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
スノーウイ(プロフ) - 初めまして＾＾初コメント失礼します。ヒロインに私も沼ってしまいました。可愛い！更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください＾＾応援しています (7月7日 19時) (レス) @page26 id: b27a556d60 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - ひまわりさん» ありがとうございます！とっても嬉しいです🥹 マイペースですが気長にお待ち頂けたら幸いです！ (6月5日 2時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - この小説大好きで何回も読んでいます！また更新楽しみにしています！ (6月2日 20時) (レス) id: 3a6334a239 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - 小袖さん» ありがとうございます！これからも頑張りたいと思います！ (2023年5月6日 1時) (レス) id: a634bcac3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2023年4月17日 15時
