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村「そしたら…棚でも片すか」
「棚？」
村「Aはそこの本でもまとめといてくれ」
「わかりました！」
ワンルームの片隅に置かれた棚。
信五君が指さした段には、本が綺麗に並べられていた。
「結構ありますね」
村「大学の時に買うた参考書とかな、何か捨てられんくて」
「ほー…」
少し高い位置にあるので、数冊ずつ取り出していく。
小説もあるけど
言われた通り大学で取り扱いそうな専門書が多くて、
面白そうなタイトルを見ては、興味を惹かれる。
…図らずして信五君の知的な部分を感じることになって、
ちょっときゅん、なんて。
同じ大学に通ってたら
それはそれでまた楽しい先輩だったんだろうなぁ。
村「興味あるか？持ってってもええで」
「え、本当ですか」
村「まぁ結局同じ家に運ぶことにはなるけど」
「うーん…確かに…」
全部取り出し終わって、本を平積みにした床に座り込む。
そして興味のある表紙の本を一冊手に取って、
なんとなくパラパラとめくってみる。
少し離れた隣にいる信五君は私と会話しながら
別の段の片付けを進めていた。
村「本とかよく読むん？」
「…んー…あんまり…」
村「意外と面白いで」
「んー…」
私と同じように床にしゃがみ込んで
作業の手を止めずに喋る信五君。
その一方で私は、信五君に背を向けて
目に止まったページに意識を奪われていく…
村「…って、おい」
「あ」
やば、バレた。
信五君が私の方を向いて、
本に夢中になりそうな所を発見される。
村「今読むなや」
「うわぁぁ」
村「ちょっ…何で隠すねん！」
私が読んでる本に手を伸ばしてきたから、
反射的に背を盾にして取られないようにしちゃう。
そしたら、何故か信五君の方も応戦するかの如く
私の背後の右から左から本を狙ってくるから
その腕の動きに合わせて、私も左に避けたり右に避けたり…
…と、
「…あっ」
村「はー…捕まった」
ガシッ、と後ろから両手を伸ばされて
本を持ってた腕ごと捕まえられた。
包まれるような姿勢に、思わず体が縮こまる。
すると、すぐ後ろから笑い声が漏れてきて、
村「何やねん急に大人しなって」
「…」
村「ちっちゃいなぁお前」
可笑しくも愛おしそうにぽんぽんと撫でるから、
また片付けをサボりそうになる、平和な午後。
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黒葡萄(プロフ) - にのちゃさん» ありがとうございます！初めから読んでくださり有難いです…！頑張ります！ (2022年2月27日 2時) (
レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にのちゃ(プロフ) - 初めまして！一昨日から読み始めてやっと追い付きました(笑)読んでいてホッコリしますし、クスッと笑える面もあって最高です(*´∀｀*)更新、楽しみにしています。応援してます( ≧∀≦)ノ (2022年2月25日 14時) (レス) id: 43bde75e07 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - みけねこさん» コメントありがとうございます。またお読みいただけて私も嬉しいです！ (2022年2月24日 16時) (レス) @page11 id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 更新ありがとうございます！最近また読み返していたばかりだったから、とっても嬉しいです。これからの更新も楽しみに待ってます。 (2022年2月23日 3時) (レス) @page8 id: d311d92dc2 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - ayayanさん» ありがとうございます。ただいまです！ (2022年2月23日 0時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2022年2月21日 18時
