検索窓
今日:20 hit、昨日:14 hit、合計:117,627 hit

ずっと一緒に◆ ページ31

「A?」

恬の驚いている声が頭の上から聞こえる。

私はというと、頭を恬の胸にうずめている状態だ。

つまり、寂しそうに笑う恬を見た私は、衝動的に恬に抱きついてしまったことになる。

「あ、いや、ごめん」

やっと我に返った私は、恬から離れる。

「びっくり、した…」

「そう、だよね、本当、ごめん」

今になっても自分が何であんなことをしたのか分からない。

ただ、自分の心のままに体が動いてしまった感じだ。

「あのさ、」

恥ずかしさのあまり俯くしかなかったが、恬の声に顔を上げる。

顔を上げた先にあったのは、きっと私と同じように、顔を真っ赤にした恬の顔だった。

その顔に胸がドキリとする。

もしかしたら、恬もあの頃のまま私のことを……

なんてことを考えてしまう。


「もし良かったら、俺の家に来ない?」


「え?」

何を言われるのか、と身構えていた私は、恬の突然の申し出に戸惑いを隠せない。

家に行くということはつまり……

いや、使用人としてということもありえる。

どうにか平静を保とうとするけれど、それも追いつかない。

「つまり、その、結婚、してほしい。」

いつもの恬からは想像できないたどたどしい話し方だった。

「結婚」という単語に馴染みがない私は、その意味を理解するのに数秒の時間を要した。

何年も会っていなかった恬に再会して、少し話した今。

私は、恬に結婚を申し込まれている。

私に断る理由はない。

ないけれど、本当に私でいいのかな。

恬の周りには、きっともっと綺麗で、使用人に全てやってもらっていた私なんかよりも、教養もしっかりしている女性がたくさんいるのではないか。

第一、私はここ数年の恬を知らない。

そんな私が、恬の奥さんなんて許されるのかな。

恬と一緒に戦場に出たい。

その想いはずっともってきた。

恬と肩を並べられるような剣士になりたい、と。

「急に言われたらびっくりするよね
 けど俺、本気だよ。
 ずっと考えてたし、次に会ったら言うって決めてた。
 もう離れ離れになるのは嫌なんだよ。」

切実に訴えかける恬に、私の心は決まった。

「うん。私も嫌。ずっと一緒にいたいよ、恬。」

こんな形で叶うとは思っていなかったけれど、数年の時を経て再会した私たちは、その日のうちに生涯を共に歩む夫婦となった____



次回…帰ろう

帰ろう◆→←分かってるよ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
200人がお気に入り
設定タグ:キングダム , 蒙恬 , 楽華隊
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ももか(プロフ) - 丸さん» ありがとうございます!!嬉しいですー!!更新頑張ります……!! (2022年5月5日 20時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しみに待ってました!!なんかめっちゃ楽しみになってきた!! (2022年5月5日 0時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» なるほど!!!それも面白いですね(o´艸`)妄想が膨らみます!! (2022年3月28日 22時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
- ももかさん» いえいえ、はい、かっこいいです!!信も主さんのこと恋したりするのかな…そしたら恬が怒るなぁ、、と感じに毎日妄想したりしてます笑 (2022年3月28日 20時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» 嬉しいです!!ありがとうございます!m(__)mここからの蒙恬かっこよすぎますよね!! (2022年3月27日 21時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ももか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年6月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。