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やっと会えた ページ29

外に出ると、大きな階段があって、それを降りていくと、街に出る。

女の身で帯剣をしていると、あまり良くない目を向けられるので、今日は置いてきた。

特にお腹が空いているわけでもなく、欲しいものがある訳でもないのでただ歩を進める。

すると、突然腕を引かれた。

「誰?!」

思わず腰に手を当てる。

今日剣を置いてきたのは失敗だったかもしれない。

「その構え、ずっと練習してるんだね。」

背後から聞こえる声に、私は息を呑む。

それは、聞き覚えのある声で、今私が1番会いたいと思っている人の声だった。

「て、ん…?」

「そうだよ、A。やっと会えたね。」

振り向くと、そこには恬がいた。

あの時と同じ、大きくて優しい目。

それを見た瞬間、私はその場に座り込んでしまった。

恬が心配して顔を覗き込んでくる。

「どうしたの?大丈夫?」

その距離の近さに顔が火照る。

まるで子供の頃に戻ったみたいだ。

「だい、じょうぶ」

顔を手で覆いながら何とかつぶやく私を見て、恬はクスクスと笑った。

「会えて嬉しいよ。」

真っ直ぐに私の目を見て言うから、なぜだか涙が溢れた。

「私も、私も嬉しい」

それを言うのが精一杯だった。

「そんなに喜んでくれるの?嬉しいなぁ」

少し驚いたように、だけど心の底から嬉しいと思ってくれてるのが伝わる恬の声は本当に安心する。




「今日はどうしたの?」

私が落ち着いたところで場所を移動して、賑やかな街から少し外れたところ。

「あぁ、今日の宴に招待されてたんだ。
 俺がってよりは、父が、だけど。」

恬の父は、王騎亡き今、秦国最強とも謳われるあの蒙武大将軍だ。

宴に息子まで呼ばれることも珍しくない。

「俺はあんまり興味ないからさ。
 そこら辺をぶらぶらしてたんだ。」

「そうなんだ。」

「趙国の人達がでてきたから、そろそろ終わったのかなーと思って近くまで行ったら、たまたまAの事見つけて、びっくりしたよ。」

目を細めて笑いながら説明してくれる。

「ずっとここで暮らしてるの?」

「うん、政様が面倒見てくださってるよ。」

「大王様が?!そっか、改めて考えるとそうだよね。
 A、義理とはいえ現秦王の妹だもんね。」

恬までそういうこと言うの?

咄嗟にそう思ってしまった。

もう、そんなこと気にしたくないのに__




次回…分かってるよ

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ももか(プロフ) - 丸さん» ありがとうございます!!嬉しいですー!!更新頑張ります……!! (2022年5月5日 20時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しみに待ってました!!なんかめっちゃ楽しみになってきた!! (2022年5月5日 0時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» なるほど!!!それも面白いですね(o´艸`)妄想が膨らみます!! (2022年3月28日 22時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
- ももかさん» いえいえ、はい、かっこいいです!!信も主さんのこと恋したりするのかな…そしたら恬が怒るなぁ、、と感じに毎日妄想したりしてます笑 (2022年3月28日 20時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» 嬉しいです!!ありがとうございます!m(__)mここからの蒙恬かっこよすぎますよね!! (2022年3月27日 21時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年6月14日 21時

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