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だけど私は ページ25

「…そうか、河了貂は女なのか。」

「……。」

「まぁ、このご時世、男装して生き抜く女もいるぐらいだ。」

カイネが言った。

「それで?2人とも戦場に出ようとしてんの。」

言われて、私たちは頷いた。

「……やめといた方がいい。」

「何で!私は恬を剣で支えるって決めた!」

「オレだって、ちゃんと軍師になる!」

私たちが言うと、カイネは少し深刻そうな顔をして言った。

「Aは弱ければ死ぬ。それだけの話だ。」

「そう、だね…。」

私は、分かってはいたけれど、実際な"死"と聞くとやはり恐怖に駆られた。

そして、カイネは続けた。

「でも、河了貂。お前は違う。」

「どういうことだよ。」

カイネが静かにあいづちを打つ。

「お前は軍師というものの本質を理解していない。」

「「本質?」」

私と貂の声が重なる。

「そうだ、軍師とは前線で血を流す兵よりもはるかに苦しくつらいもの、」

カイネはそこで言葉を切り、秦軍の旗が変わる様子を見ていた李牧に視線を送る。

「……そして、恐ろしいものなんだ。」

私たちは、もう何も言えなかった。





その頃、戦場の蒙武は龐煖を追っていた。

しかし、これは敵将の罠だったのだ。

その道中、落石や伏兵によって蒙武軍は、数を半分以下に減らされていた。

そんな中、蒙武は龐煖に追いつき、圧倒的なその武力で討ち取った。

蒙武軍が歓喜の声を上げる。

だが……

「皆を黙らせろ、これは偽物だ。」

蒙武が言った、その時。

どこからか軍が迫っている音が聞こえた。

彼らの視線の先にいたのは趙の本軍。

そう、趙軍は蒙武にとどめを刺すため、本陣を動かしていたのだ。

そして、その本陣には龐煖がいた。

それに気づいた本陣の王騎が、すぐさま趙の本陣を追ったが、間に合わなかった。

趙軍の本軍に包囲された蒙武軍。

ここに着くまでの多くの伏兵や罠で、体力も気力も削られたその千騎未満の軍は、ただやられ続けるのみの状況となってしまった。

あの圧倒的な武を誇る蒙武でさえも、敵の策の前になす術がないようだ。

その時だった。

蒙武軍を取り囲む趙軍の様子が変わった。


「お、お、王騎だーー!」

誰かが叫んだ。

「んふふ、お待たせしました。龐煖。」

王騎が龐煖に呼びかけると、龐煖が顔に刻まれた大きな傷に手をやる。

「あなたも待っていたでしょう?
 5日……いえ9年間。」







次回……決着

決着→←戦場 参



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ももか(プロフ) - 丸さん» ありがとうございます!!嬉しいですー!!更新頑張ります……!! (2022年5月5日 20時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しみに待ってました!!なんかめっちゃ楽しみになってきた!! (2022年5月5日 0時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» なるほど!!!それも面白いですね(o´艸`)妄想が膨らみます!! (2022年3月28日 22時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
- ももかさん» いえいえ、はい、かっこいいです!!信も主さんのこと恋したりするのかな…そしたら恬が怒るなぁ、、と感じに毎日妄想したりしてます笑 (2022年3月28日 20時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» 嬉しいです!!ありがとうございます!m(__)mここからの蒙恬かっこよすぎますよね!! (2022年3月27日 21時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年6月14日 21時

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