戦場 ページ22
私は、あの数時間後、蒙毅くんと貂、恐らく軍師の勉強をしているであろう人達と、戦場に来ていた。
今まさに、軍と軍のぶつかり合いが始まろうとしている。
「間に合って良かった。」
蒙毅くんが言った。
「“先生”のお許しをもらっておいて、間に合わなかったでは笑い話にもならない。」
ここは、戦場から少し離れた場所。
どうやら、古い山城の跡のようだ。
「ねぇ、ここから戦場を見るなんて、危険ではないの?」
私は、心配になって尋ねた。
「大丈夫です。これだけ離れていれば。」
「そう。」
そんな会話をしている間に、両軍は、激突した。
蒙毅くんたちは、戦を見ながら、展開や策略を考えた。
食事も睡眠も全部ここでする。
この戦は、しばらく、蒙毅くんの父・蒙武将軍を中心に回るだろう、と蒙毅君が言っていた。
私は、おじさまがあんなにすごい人だと思っていなかった。
王騎将軍が総大将をつとめるような戦で、副将だ。
さらに、2日目には軍師が練りに練ったであろう策略を、“力”でねじ伏せた。
「軍師を目指す僕としては、少々認めたくないです。」
その日の夜、蒙毅くんは言った。
「僕が軍師を志したのは、父上に欠けている部分を補いたかったのもあるんです。
でも、その必要は一切ありませんでした。
父上には何一つ欠けていなかった。」
蒙毅くんは、父を誇りに思っているようで、それでいて、少し寂しそうだった。
「あ、そうだ!恬は?恬は今どこで何をしているの?」
私は、どうして今まで聞かなかったのだろう、と自分を不思議に思いながら聞いた。
「あぁ、兄上なら、“楽華隊”という隊で百人将をしています。今も、任務でどこかに出ていると思いますよ。」
「百人将かぁ。会いたいな...。」
「兄上も、会いたがっていました。
姉上を楽華隊の副長にしたい、と。」
「そう、か。嬉しい。」
私は、今にも泣きそうだった。
恬の隊の副長になれる日が来ようとは...。
「ま、この戦で秦が負けたら僕たちも皆殺しかもしれませんが。」
蒙毅くんがあまりにも軽く言うから、私は言葉の意味が理解できず、反応ができなかった。
「どうなるかはわかりません。
もしそうなりそうだったら、逃げるしかないですね。」
「そうなんだ。」
私は、意外に適当な考えに少し驚いた___。
次回...戦場 弐
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ももか(プロフ) - 丸さん» ありがとうございます!!嬉しいですー!!更新頑張ります……!! (2022年5月5日 20時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
丸 - 楽しみに待ってました!!なんかめっちゃ楽しみになってきた!! (2022年5月5日 0時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» なるほど!!!それも面白いですね(o´艸`)妄想が膨らみます!! (2022年3月28日 22時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
丸 - ももかさん» いえいえ、はい、かっこいいです!!信も主さんのこと恋したりするのかな…そしたら恬が怒るなぁ、、と感じに毎日妄想したりしてます笑 (2022年3月28日 20時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» 嬉しいです!!ありがとうございます!m(__)mここからの蒙恬かっこよすぎますよね!! (2022年3月27日 21時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
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