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「けほっ、……ごほごほ」

「大丈夫?…ちょっとしんどいかな、」



このまま帰す訳にはいかないし…

なんて院長や上の医師に電話をかけながら
バタバタしていた時

診察室の硬いベットに座っていたりょうすけくんが

背中を丸めながら痰の絡んだような咳をした。



「…ごほっごほ、んんっ……」

「あれ…ちょっとごめんね、」



落ちそうになるほど前屈みになった姿勢を

少しだけ戻してあげれば見えた、ほんのりピンクくなった頬。


そのまま片手で抑えながら、
体温計を取って着ていた服に手を伸ばしたはずなのに…



「けほっ、…だめ。だめなの」

「どうして?」

「おなかみせちゃだめっていわれたの」


明らかに何かを隠すように
俺の手を払った。



「りょうすけくん、ちょっとお話しよう。」

「……おはなし?」

「うん。その前に、お熱だけ測っても良いかな。お洋服触らないから、おでこだけ見せて?」

「…うん」



よし…。
ほんとは脇に挟んで測りたかったけど
正確さは求めず、熱があるか否かだけ。

近くにいた看護師に、額で測れる体温計を持ってきてもらうと、それは素直に受け入れてくれた。



「…あちゃー、寒かったもんね。」



表示されたのは38.2度と微熱を超えてしまった体温だった。

こんな小さな身体じゃ
持ってあと数十分だろうな…。

発熱に脱水症状か…
応急処置が先だな。



「中島くん、病棟確認取れる?」

「個室ならあいてるみたいです。」

「じゃあそこで。俺この子連れてくから、先回りしてルートの準備お願いしていい?」

「分かりました。」



颯爽と出ていった彼を横目に
出会った頃より熱を持ってしまった温かい身体を身に寄せる。



「身体預けな?…うん、楽な格好でいなね。」



2度目の抱っこ。やっぱり軽い。

心做しかさっきよりも、引っ付く力が弱くなっている。



身体をこちらに預け、はぁはぁ…と早い呼吸を繰り返すりょうすけくんの背中を撫でながら、診察室を後にした。

◇→←思わぬ出会い。



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 山田涼介 , 病系
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作者名:らら | 作成日時:2021年3月16日 20時

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