見たことある顔【花霞】 ページ9
光希side
珍しく定時に仕事が終わり、そのままコンビニまで足を運ぶ。
花霞にもなんか買っていってあげようかなぁ〜とか考えてる。でも、お昼の梅干しおにぎり３つは精神的にも肉体的にもキツかった。
３つは普通に食べ過ぎだし、梅干しって…俺は酸っぱいものと辛いものと苦いもの…あとは…まぁ、その他もろもろ苦手なのにさ。まぁ、花霞ちゃんも反抗期なのかな。
ポケットの中でスマホが振動する。
たぶんこの時間に掛けてくるのはメンバーの誰かだろうな〜と思い、特に迷わず着信に応答する。
『はいは〜い。貴方の先輩、蓮見光希くんで〜す。』
「あ、こんばんは。」
『テンションひっく。』
珍しい相手から電話が掛かってきて、ちょっとだけテンションが上がる。
そもそも俺に電話掛けてくるメンバーが少ないけど、掛けてくるってことは重大なことがあったんだろうかと少し心配になってくる。まぁ、声色からして焦ってもなさそうだし、大丈夫だろうけど。
『どうしたの？湊から掛けてくるなんて珍しいじゃん。』
「あの…花霞になんかしました？」
なんか…なんかって悪いことだよな。
悪いことは…してないし。たぶんこの判定だとなんもしてないってことになるのかな？知らないけど。
『え？なんもしてない気がするけど…。』
「あ、資格なしなんですね。了解です。今日、光希先輩の家行ってもいいですか？」
自覚ってなに？？俺なんかしたっけ？？わかんないわかんない。
て言うか湊くんめっちゃ怒ってない？？怖いんだけど？？俺これから怒られるの？家で説教されるの？嫌なんだけど？湊くん怖いもん。嫌だもん。
『え？別に良いけどさ…。俺って怒られるの？嫌なんだけど…。』
「怒らないですし、怒ってないですよ。ちょっと常識を教え込むだけですよ。じゃ、すぐ行きますね。」
『え？ちょ…それ絶対怒るじゃん。』
いつの間にか切られていて、湊が俺の家に訪問することが決定してしまう。やば〜い俺怒られちゃうじゃん。何で怒られるかわからないって言うのが更に怖さを引き立てる。
『うわぁ〜やっちゃった。ホテルでも泊まろうかなぁ。』
思ってもいないことを口にしながら、美味しそうな缶ビールを選ぶ。
湊の性格上、酔っている奴に向かって本気で怒るようなことはしないだろう。
適当に目についたものをカゴに入れて、レジに並ぶ。
入店音のする方に目を向けると、見たことあるような顔が見えてくる。
よ〜し！声かけちゃおうかな〜
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