メンヘラ【桃也】 ページ30
床に放っていた鞄を手に取り、床に手をつきながら立ち上がる。
すると光希くんも腰を上げ、また部屋から出ていった。
肩を上げて解していると、何やらタッパーを持って帰ってきた。
中には案外食べ物の形を成した物が。形を留めていないのではと思ったので、意外だった。
「え〜、見た目は食べれそう!すごいね花霞ちゃん!」
『料理できるんだ……』
美作先生が二度目のオーバーキルに不満そうにしているのが、視界の端で捉えられた。まともに食事をとってない人が料理作れるとは思わないでしょう。
「ボクのこと舐めすぎじゃないですか?」
「え〜?でも俺と花霞ちゃんで出たお料理番組で料理できないキャラで確立したじゃん」
タッパーの中身はそれこそ茶色で彩りに欠けるところがあるにしても、普通に食べられそうなレベルだった。
材料もシンプルで何となく慣れないながら頑張ったのかな、などと保護者のようなことを思った。味は……知らないけど。
「いや〜花霞ちゃんも大人になっちゃって……」
「貴方とさほど年齢差ないですけどね。貴方の怯えてるみなくんと同じ年齢ですけどね」
鞄から携帯を出し、連絡を確認する。先程までに何度かバイブレーションが起きていたからだ。
そしてアプリを開いた瞬間見えるメール数。うっと一瞬息が詰まった。
『メンヘラ……』
そいつ……海貴からの履歴を流し読みした。
内容は大体「まだ?」「ホントにコンビニ行ってるの?」「何してるの?」「ご飯冷め切っちゃったよー」などを細々と送ってきていた。1分おきほどで。
まあ……そうだよな。コンビニに行ってきてと頼んだ奴が全然帰って来ないのだから、そりゃ不審に思うだろう。
でもこっちに何かあったのかと心配するのではなく、こっちが何かしているというのを前提の質問が多く彼の性格が伺える。
「じゃあ、そろそろ帰ります。落知先生、今逃すと帰るタイミングなくしますよ?」
『ああ……そうっすね。帰ります』
スマホの電源を落とし、半絶望しながら鞄にしまう。
家に帰ったら質問攻めだな……こうなると彼奴、しつこいんだよ……
情報量がバグっていた今週の最後に疲れまくった金曜日は、ここ数年でも滅多にない最悪の日だった。
もう少し俺の人生は淡白だった気がするんだけどなあ??
酷く変な日を過ごしている自分に強く応援メッセージを飛ばしてやりたいと強く思った。
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