料理【花霞】 ページ27
一通り話したいことを話し終えてしまって、なにも話すことがなくなってしまった。
何故だか向かい合って座っているせいで気まずさが増している。
「そういえばさ、花霞ちゃんはいつ帰るの?そろそろ帰んないとやばくない?もう外は暗いけどさ。」
自分の真上から声が降ってくるような感覚がして、思わず大きめに肩を鳴らして驚いた。いつのまにか帰ってきたんだ?そもそも足音しなかったよね?
『…びっくりした〜。足音くらいたてて移動してくださいよ。心臓に悪いです。』
「はいはいごめんね〜。落知先輩と一緒に帰る感じなの?」
勝手に話を進めないでいただきたい。全然ついていけないし、落知先生疲れすぎて顔が死んできてるし。明日だって仕事なんだって。早く帰らせてあげてよ。
『そうですね、そろそろ帰ります。冷蔵庫に今日の夕飯分と明日の朝食分は作っておきました。もう長いこと作ってないんで、味は保証しませんけど。』
「え〜!?花霞ちゃんの手料理!?」
手料理だ〜!花霞ちゃんって料理できるんだ〜!とボクの周りで騒いでいる光希先輩。多分この人バカだろ。ほんとにうるさい。ボクのマンションの近くにある公園にいる子供よりもうるさいんじゃないの?あ、でも犬にも見える気がする。
こんな人、みなくんに本気で怒られちゃえばいいんだ!!
「美作先生って料理できたんですね。」
「ですよね!花霞ちゃんが料理できるイメージもしてるイメージもない。」
落知先生はいきなり話し始めたかと思ったら光希先輩と同じことを言い出した。2人とも、食べないのと料理できないのは違うんだけど。
かと言って、落知先生に対してマウントを取れるほど上手くできる自信もないから、普通に答えることにした。
『たぶん、人並みにはできるはずです。包丁握ったのは5年ぶりくらいですけど。』
ボクが話終わると落知先生はもちろん、いつもうるさい光希先輩でさえも黙って信じられないという顔をした。光希先輩に関しては「5年…?」と繰り返している。だって食べないんだもん。わざわざ自炊なんてしないし、コンビニ最高、ヨーグルト最高。
「えっと〜…ん〜、まぁ、見た感じ怪我してなさそうだし、良かったよ。」
光希先輩の横にいる落知先生は首を縦に振る。同感ということだろうか。
ボクが包丁握るってそんなに危ないことなのだろうか?
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