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すげえ【桃也】 ページ20

どうやら彼の部屋に行くには、厳重な扉を何枚もくぐっていく必要があるらしい。
正直下町で生まれて育って、今もセキュリティイマイチな家に住んでいるもので、探検しているような気分になった。世の中の有名人はこんな所にわんさか居るんだろうなあと、無駄に広いエントランスを通っていて思った。

俺の家のマンションのエントランスなんて、マンションの小学生たちがゲーム機持ってキャッキャ遊んでるぞ。
マンションにコンビニやらジムやらがあるとか。どんな夢物語だよ。

ここが俺の家だったらどれだけ幸せだっただろうか。マンションから出なくても過ごせんじゃねえか。一生マンションから出ずにテレワークデザイナー始めるところだぞ。まあ家賃払えないけどな。

乗ったエレベーターも、ボタンの数がとんでもない量だったしなんかやっぱ綺麗だし。世の中には凄い家があるものだ。

そこそこ夜遅いのもあって、渡り廊下は少し漏れた部屋の明かりと住む人の声がまばらに聞こえる。
差し込む風はひんやりとした空気で俺たちの髪を揺らす。心地よい寒さだった。

飾りっ気のない扉の前に着き、光希くんが扉に手をかける。

それと同時に扉が開き、今日一日見ていなかった白髪の彼が顔を出した。
タイミングが丁度重なったことと、光希くん以外も人が居たということに驚いているんだろう。一瞬で目線がうやむやになったのが見えた。

数言光希くんと美作先生が言葉を交わす。
残された湊くんと共に絶妙に気まずい雰囲気をお互い感じ取った。

ジャケットを脱ぎ、左腕にかける。ここまでバイクジャケットで来たけど多分俺ダサかったな。スーツとの相性最悪だし。

美作先生は光希くんに言われてやっと俺の存在に気づいたのか、なぜいるのかと聞いてきた。
貴方の先輩に誘われたので、というとほんの少し恨めしそうな顔をした。それは多分俺に向けてではないだろう。

上がるように言われ、湊くんに続いて入り1番最後に玄関へ足を踏み入れた。何となく鍵は閉めた。
人の家に上がるのは中々久しぶりで、家主の雰囲気がドッと襲ってくるのが久しぶりでくすぐったかった。

美作先生の上着を預かると言われた。自分で持っておくので大丈夫ですよ、と言うが、いえいえ良いですからと返されて左手に持ったそれを渡してしまった。新婚夫婦かて。

靴を脱ぐ時に見た靴箱の上には、高校生男子5人が笑顔で写った写真が置いてあった。
メンバー愛の強い、素敵なリーダーだと深く感じた。

そういえば【花霞】→←来客【花霞】



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作者名:藍兎・ 和癒 | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2023年3月19日 12時

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