来客【花霞】 ページ19
19時半を回った頃
光希先輩が帰ってくると言っていた時間を大幅に過ぎていて、そろそろ心配になってくる。玄関は開けるなって言われたし、外にも用事がない限り出ないように言われた。
一応連絡はしてみたものの、全く反応がない。メッセージは未読無視で電話にも応答しない。
不意に、アイドル科だった時のことを思い出す。
アレは確か学校のテスト期間とシングルの収録とドームのライブが被った時だった。
他の人なら学校を休んでいるようなスケジュールをこなして一週間。テスト最終科目が終わり、部屋に入った途端に崩れ落ちた。同じ部屋だった先輩があと少し気づいていなければ、きっと…。
そう思うと怖いとかの言葉では表せない恐怖感がボクを襲った。
『どうしよ…。』
1人では広過ぎる部屋でつぶやいた言葉は、誰からも返答が来ることなく消えていく。
このまま此処にいても不安が募るだけだとわかっているから、バックの上に畳んであった上着一枚を持って外に出て行くことにした。
この時間に外出することはほぼないので、少しだけ緊張するような不思議な感覚を覚えた。
玄関のドアノブを掴むと、それがいきなり動いて外側からドアが開いた。
「ただいま〜!!あれ?花霞ちゃんどっか行くの?結構暗いけど…。」
目の前に光希先輩がいて、思わず一歩下がってしまう。普通にびっくりした。
まさか心配だったから外出しようとしたなんて言えなくて、他に何か言い訳しようとしたが、咄嗟には思いつかなかった。
ん?待って。後ろに誰かいない?しかも2人くらい。背格好的に絶対に男の人だけど…。
マンションの横にある街灯が変に明るいせいで、後ろにいる2人の顔がよく見えなかった。
『いや、なんとなく外の空気吸おうかなぁ〜って思ってただけです。おかえりなさい。ところで、後ろにいる人たちは…。』
「あ〜見えないのね。湊くんと落知先輩だよ。」
あ〜、みなくんか。知らない人だったらどうしようって思っちゃった。
ん?落知?落知って誰?ボクの知ってる落知?落知先生?てかあの人青蘭卒業生だったの?初耳なんですけど?
『え?落知先生?何でココに…?』
「貴方の先輩に誘われたので。お元気そうですね。良かったです。」
まさか会えるなんて思ってもいなかったから、少し緊張してる。言葉がうまく出てこなくて…何だろ、これ。
とりあえず全員分の上着を受け取ってヘンガーにかけてる間に、話す内容を考えておこう。
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