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客なんですけど【桃也】 ページ18

精算機から発行された物を手にして、駐車場を見渡す。
彼はバイクの前に居たままだったようだ。

大股で彼に歩み寄り、早速部屋へ向かおうとした。
チケットを入れるために鞄から財布を取り出し、カード類と共に入れる。


「あ」


二種類の声が重なり、さらに俺の財布のボタンを閉める音が静かな駐車場内に響く。
その静寂を埋めるようにどこかの車のエンジン音が聞こえた。誰かの冷や汗何なのか、酷く一帯が冷えついた気がした。


「や、やっほー湊くん。元気そうでなによりで〜す」

「一昨日ぶりですね」


わー、すごい。ナチュソンお得パックだあ。藤の実助かる〜。

とかいうほどお花畑脳みそではない。何で湊くんがいらっしゃるんでしょうかね。イケメンに囲まれて立つ瀬がないです。

鞄に財布をしまう。俺で体を隠している誰かさんは気にしないことにする。


「え〜この人は俺の先輩で、花霞ちゃんの同僚の落知先輩!」


初めまして。と軽く礼をする。ライブに行っていたとはいえ、ここまで近くで見るのは初めてだ。

学年が大分遠かったのもあって、湊くんは首を傾げていた。思い出そうとしているのか、顎に手を当てて。

まあいいかというように歩き出した。
俺を前にして2人横並びで歩いている。客を除け者にするとは中々な物だ。

内ポケットからスマホを取り出し、教えてもらった住所へ向かう。

マップを確認していると、手に持ったスマホが震えた。

「今気づいた! ぼっちで飯食べときます」

というメッセージと共に、下を向いて小石を蹴る猫のスタンプが送られてきた。海貴からだ。

俺も両手を合わせた猫のスタンプを送り返す。

この猫のスタンプはクラス随一の画伯、清瀬の作ったスタンプだ。
そう、なんといっても彼の絵は凄い。(笑)がつく方向で。

彼奴がデザイン科を卒業できた時には皆で胴上げをした。

そんな清瀬が卒業して一ヶ月程度経った時に突然「作った!」と言ってきたのがこのスタンプ。
なんともブサかわで絶妙なスタンプは、一般にも公開した所爆売れ。
なんなら彼奴のSNS全てがバズり出し、今はフリーイラストレーターをやっているらしい。それを聞いた時は元クラスメート全員で心配したものだ。「酒飲みすぎたか?」と。


「__だし! ね、落知先輩!」

『え? あ、そうですね』


突然振られた会話に動揺しながら適当に返事をした。話聞いてなかったな。

丁度マンション前に着いた。ここからは流石に家主に先に行ってもらおうか。

来客【花霞】→←怖いって!【花霞】



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作者名:藍兎・ 和癒 | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2023年3月19日 12時

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