怖いものは怖いんです。【花霞】 ページ15
光希side
『うわぁぁ〜はやっ!!』
バイクは一応乗ったことはあるよ。乗るだけなら。
そういえば、ドラマの撮影でバイクで河川敷を走っていくシーンがあったなぁ
でも撮影がちょうど6月で雨ばっかり続いたから、バイクに乗って前から巨大な扇風機で風を当てるっていう方法に手を出したんだっけ…。
本来なら俺はそこでバイクデビューを果たしていたんだろうな〜とか思っていたけど、これは自分じゃ乗れそうにない。普通に早いもん。怖いじゃん。好き好んで乗っている人は「風を切って走る爽快感がいい!」とか言ってそうだけど、車と違っていつ落ちるかわかんないじゃん!、俺からしたら普通に恐怖だわ!!
今まで信号に捕まらずに走っていたが、ここ信号でやっと止まった。
あ〜、もうホント、今日死ぬのかな?だとしたら最後に親に…親はいいや、可愛い可愛い後輩たちに会いたかったな。出来れば結婚もして、子供は…2人くらいで、幸せな家庭築きたい人生だったな…。
『あ…あわ…。』
「だ…大丈夫ですか…?」
『あはは、来世は…幸せ…はは。』
落知先輩が声掛けてくれてるけど、あんまり聞こえない。もう半分意識ないと思う。
あ〜、明日のプレゼンのこと考えよう。そしたらあっという間についてるだろ。歩いててもそんなに遠くないからバイクならもっと早く着くはずだし。大丈夫、大丈夫。平常心、平常心…。
俺がこんなになっている間に信号は青になって、地獄が再来する。車酔いもしやすいからそこで心配してたんだけど、それ以前の問題だわ。
よし、明日のプレゼンは青蘭学園のユニットのステージ装飾についてだ。この間のライブの感じだと結構ふわっとした明るいイメージのユニットだったから、白基調にして残りもパステルカラーでまとめよう。照明は白と黄色、水色とピンクくらいかな。アンコール入るだろうから、終わった後に花弁とか降ってきたら嬉しいよな。そこの花弁の一部に直筆メッセージとか書いてあったらまたいいよな〜。
「光希くん、着きましたよ?」
さっきまで全身で感じていた風はいつの間にかなくなっていて、風景もちゃんと止まっている。
もう着いたの?早くない?
『あれ?考え事してたら着いてました〜!これならジェットコースターも乗れるかも!あ、乗せていただいてありがとうございました!貴重な体験でした!』
そう言ってヘルメットとバイクジャッケットを返す。これもたぶん人生で最初で最後の体験だったな。
楽しいけど怖かった〜。
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