桃色の花の蕾【派生作品】 (ページ14)

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バイク乗り【桃也】ページ14

……なんか行くのは行くので面倒だな。家帰って飯食べたい。あ、弁当残ってるからそれ夕飯にしなきゃ。今頃海貴飯作ってるよな。なんかキッチンの方何か焼いてるみたいにバチバチ言ってたし。仮にも客人だけで飯を食べてもらうのはちょっと……

ぼけっと考えている間に家に行くのに問題はないという旨を説明されたので、集中半分に返事をした。

会計を頼み、料金の増える画面を見つめる。店員さんと然程会話しなくても会計ができる良い世の中だ。
会計を終えて店から出る。

鍵を差し込み、リアボックスを開けた。そこから予備のバイクジャケットとヘルメット、手袋を取り出す。
たまたま誰かを乗せる時用に使ったのがそのままで良かった。

それにしてもバイクジャケットまで入っているとは思わなかった。いつしかの俺、ナイス。別に俺が脱いで彼に着てもらえば良かったとはいえ、流石に無しは不安だ。

一旦ヘルメットを地面に置き。リアボックスを外す。リアボックスがついている所が二人乗り時には、後列者の乗り場になるのだ。
そのまた後ろにリアボックスを付け直し、勢いよく揺らしてみた。うん、外れないな。

父親とツーリングした時に父のリアボックスが外れて吹っ飛んで行ったのを目のあたりにしてから、リアボックスの扱いには気を付けている。

数年愛用しているヤマハの車体に寄りかかる。免許を取ってから二代目のバイクだが、乗り心地がよくて便利だ。

鼻歌交じりでコンビニから光希くんが出てきたので、バイクで良いかということと住所を聞いた。
快諾した彼は、首をかしげながら住所を言った。バイク乗ってたら道案内どころか声聞こえねえし。

地図アプリで住所を入れると、そう遠くはないことが分かった。家寄ったらすぐ帰ろう。

『そろそろ行きますよ。ヘルメットは絶対被ってください。バイクジャケットはお好きにどうぞ』

下に置いたヘルメット類を指さし、ついでに彼の荷物をひったくってリアボックスに入れた。なんかこの人なら荷物吹っ飛ばしそうだし。

「バイクとか初めてなんで、ちょっと怖いですね」

そう言いながらバイクジャケットに腕を通した。
……初めてだとたまにヘルメットつけられない人いるんだが、大丈夫そうだろうか。

そんな彼を横目に見ながら、バイクに跨りエンジンをかけて軽く進む。
マフラー側から乗ろうとするので止め、一応なんとか乗れた。

うん……不安だ。