検索窓
今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:4,737 hit

笑顔【花霞】 ページ1

『あがりました〜。僕なんかやることあったりします?お皿洗うくらいなら大丈夫だと思いますけど…。』

「ん〜なんもないかな。洗濯は俺が入ってから回すし、料理もしないから洗うものがないんだわ。」


ボクがお邪魔してから、光希先輩は笑顔を絶やさない。
仕事をしている時だけ、真顔になったくらいで、ボクと話す時はずっと笑っている。
疲れるのではないかと思って、今更ながら申し訳なさを感じてしまう。


「そういえばさ、明日仕事行くの?学校の校門前通ってたんでしょ?」


光希先輩と話している時間が楽しくて(ちょっとストレスも溜まるけど)、今日ここに泊めてもらう意味を忘れかけていた。
明日金曜日だった。一回行けば土日来るし、行ったほうがいいかな?何より落知先生にお弁当の頼んでしまっている。申し訳ないのもあり、自分が楽しみにしているのもあり、休みたくはなかった。


『仕事なんで、行きますよ。さすがに。』

「…そっか。」


少し間の空いた言葉
なんの含みがあるのかはわからなかった。ただ、顔お見る限り、心配してくれているのだろう。ありがたい。
でも、ボクだって大人だし。こんなことで休んでいては行けないと思うのだ。


「?花霞ちゃん、鳴ってるけど?」

『あ、すみません。』


多分職場の誰かか、みなくん。待たせているから、スマホの表示を見ないで出ようとした。


「花霞!?今どこにいるの?お母さん心配で…。」


自分の声を遮って、慌てる様子の声の主は母だった。
聞きたくなかった。なんて返そう。
出る前に何も考えていなかったせいで、声が出なくなってしまうほどに緊張した。

そうしよ…なんも考えられない。呼吸が浅くなっていくのが自分でもわかる。


「…かして?」


いつの間にか隣にいた光希先輩に小声で話しかけられた。
…笑顔だ。こんな時までも、この人は笑顔だった。たぶん、ボクを落ち着かせるためなんだろう。
自分じゃどうすることも出来なくて、光希先輩にスマホを手渡す。

スマホを耳から離したことで、母の声はほぼ聞き取れなくなっていた。

光希先輩がスマホを自分の物のように扱い、普通に電話を切っていた。


「花霞ちゃん、今日はもう寝ようか。明日のことは明日考えよ。」

『…はい』


何か言いたかったはずなのに、その言葉さえ口にできなくて、ただ小さく返事をすることしかできなかった。


寝室の場所を教えてもらい、枕に顔を埋める。

明日のことは明日…わかっていても、なかなか寝付けなかった。

赤マル【桃也】→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:アイドル , 派生作品 , 桃花
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:藍兎・ 和癒 | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2023年3月19日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。