流星群の奇跡【前編】

49 K ページ49

信じらんね、マジで、泣きそう。
長年の片想いは、こんな形で叶い終止符を打つことになるなんて、


ニカに感謝すべきなのは分かってる。
でも、複雑な気持ちはどうしても拭えない。



だって、人生の半分以上、アイツを思ってたんだぜ？
それがこの入れ替わった数日で叶ってしまうなんて、
喜びきれねーだろ、



でも、



手放したくはない。
このニカがくれたチャンスを、逃したくない。



「さすがに俺の一存では答えられないでしょ。待ってもらったよ。多分、あれは本気。ミツを騙そうとかはめようとかしてる訳じゃなさそうだった」
「んなこと、アイツはしねーよ」



その告白を聞いたのが、ニカだったなんて……



悔しい、わ。マジで、
嬉しいけど……




「ミツ、何で泣いてんの？」



脆くなったな、ほんとに。
この体が悪いんだ。鼻がいてーよ。
目頭がいてーよ。




慌てる二階堂の、
握られてる二階堂の手をぎゅっと握りしめた。





「おれ……藤ヶ谷が、藤ヶ谷が好きなんだ」



初めて人に話す、秘めた恋心。
その重大な秘め事を誰かにこうして話す日がくるとは思わなかった。
話した相手の姿は自分だけど、相手は俺じゃない。




「ミツ……」
「ありがと。ニカ、藤ヶ谷と俺をくっつけてくれて、おまえのおかげだ…」



ニカだから、藤ヶ谷は好きになった。
この短期間で、告白までさせた。
その事実は、現実だった。




「お願いだ、藤ヶ谷と付き合ってほしい」



縋るように託す想い。
姿は自分なのに、中身はメンバーの二階堂。



「……さすがに、入れ替わってることガヤには話した方がいいんじゃない？こうなった以上は」



その正論に、俺は首を横に振った。



最近の俺が好きだった、と告白を撤回されるのがどうしても怖かった。



俺じゃなくてもいい。
俺が、藤ヶ谷と幸せになれるなら……




「それはしたくない。お願いだから、このまま…付き合ってくれないか？」



ほんとは恋人らしいことなんて、してほしくない。
体は俺でも、俺じゃないんだから。


卑怯だと罵られてもいい。




「戻る方法も分かったかもしんねーんだ……」



恋人同士になって、元に戻れば、
俺の長年の片想いは叶ったことになるだろうか。




元に戻れば、俺がアイツの恋人になれる。
振られるかもしんねーけど、その日が来るまでは。




「分かった。でも返事は自分の言葉でしなね」



優しい目をした俺に、頭を撫でられて涙を拭いた。



..........to be continued

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