流星群の奇跡【前編】

47 F ページ47

告白しようとしてる相手に、違和感を感じるなんて
一世一代の告白なのに前代未聞だ。



「北山が好きなんだ。」


でも、知って欲しいから強行突破した。
ついに言ってしまった……
逸らしたいけど、瞳は逸らせない。
ここで逸らしたら男じゃない。



一瞬の沈黙。
風の音だけが聴こえてきた。



「俺もが、藤ヶ谷好きだけど」



その沈黙を破ったのは、
なんともあっけらかんとした声だった。
多分、俺が言った「好きの意味」を履き違えてる、そんな感じを受ける。



「付き合ってほしい」



ここまで言えば、さすがの鈍感な北山も気付くだろう。案の定、目を大きく見開き、表情が固まった。




「驚かせてごめん。でも、考えてくれると嬉しい」



告白はシンプルにいきたい。
まっすぐ見つめる。
その重なる視線を先に逸らしたのは、北山だった。




「ごめん、少し考えさせて」


そう言葉を発する前に『えっ』と
明らかに気まずそうな顔をしたのを見逃さなかった。
やっぱそうだよな。
最近、北山の態度が変わったのも俺を想ってのことじゃない。
増えたボディタッチだって。
北山にしたら、何にも考えずにしたこと。
誰にでもきっとしてるんだろう。



思った通りに、この恋に終止符を打つことになる。



ヤバい。泣きそう。



だけど、ここは俺の気持ちが本物だと分かってもらわなければ、勝算がない気がした。


もう千ちゃんのものなの？


聞きたい言葉を飲み込んで。



「せっかく来てくれたのに、困らせてごめんな。家まで送らせて」



きっと北山は断るだろう。
でも、絶対今日は送ろうと決めていた。



でも、北山は……



「うん。ありがと。助かる」



予想に反して、すんなり受け入れた。
例えメンバーだとしても、告白してきた奴と同じ車内で気まずくないのかな？



嬉しいけど、北山は断ると思ってたから若干意表をつかれた。



それは、俺の告白なんて、なんとも思ってないってこと？



段々と虚しくなってくる。



そっと北山の腰に添えたいこの手を、添えることなく引いた。




「でもマジでびっくりしたわ！」



告られた張本人のくせに、他人事のように感想を言う。
いつから好きなのか、とかさえ聞かないんだな。



もう、断る言葉を探してるのだろうか。




隣にいるはずの北山が、
今までで一番遠い存在に感じた。


距離を置いていたつい最近までの方が近くに感じるなんて、専らおかしいが……




表現出来ない感情が湧き出していた。

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