流星群の奇跡【前編】

39 K ページ39

二階堂ガヤから今日は楽しかった、ありがとうってメール着たけど、飯にでも行ったの?


藤ヶ谷からメール着たのか……いいな。
ニカにメール来るのは当たり前なのに忘れてた。
報告前に知られてしまいちょっと気まずい。



北山わり、行った。飯じゃなくお前が観たいって言ってたらしい映画に付き合った。



まるで正当化させるように、
断れなかったように見せるため、理由を添える。
シャワー浴びたいのに、先にこっちのが気になってそのままソファに腰をおろす。





二階堂マジで?!すげー!次の予定聞かれたんだけど。どうすればいい?



どうすれば……って、
こっちが聞きてーよ。
ニカんなにアイツと会ってたのかよ……
……千賀がいるくせに。




北山どうすれば…って。つーか、んなに藤ヶ谷とプライベートで会ってんの?




そんなに頻繁に会ってるとは知らず、知らない面を知り少しやっぱり複雑な思いに駆られる。
そのまま背中からずりずり滑り落ちて、そのまま横になる。



「夢心地から一気にマジで現実……」



二階堂会ってないし!つーか俺も行きたかった!抜け駆けずるい!



会ってねーのか？
ちょっとした疑問がよぎったけど、そのまま重くなってきた瞼が閉じていく。



「風呂入んねーと……」



鉛のように重いのを何とか開けて、体を起こした。



北山とりあえず、お前に迷惑かけらんねーから、予定があるって適当に返しておいてくれるか?




自分では断れないから
二階堂に託す、おれもセコいな。
しょうがないか。藤ヶ谷のこととなるといつも臆病になる。



はぐらかし続けば、話は流れるだろう。
でも、社交辞令じゃなかったのか……
さっきは決めなかった日にちを、すぐにメールで訊くなんて。




やっぱり、勘繰りそうになる。
友だちにンなことするかな？



あー！もー！



とりあえず、シャワー浴びて筋トレだ！




髪をくしゃくしゃとかいて
ぱっと立ち上がった。



本当はもっと藤ヶ谷と喋りたい。
でもニカを好きだなんて事実があっちゃ困る。
変に期待を持たせたくない。
だけど俺が藤ヶ谷に冷たくなんて出来る自信もない。




湯になる前の水で髪から浴びて、くしゅん、とひとつくしゃみをした。



この時期に水浴びはサウナも入ってない今、思った以上に冷たかった。

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