23 K ページ23
俺は向かい側の空いてる方の和座椅子に、ふらふらとよっこらせと腰を下ろす。
木製の背もたれに背を預けつつ露骨に、二階堂へと身を寄せた。
「ミツ〜！飲んでるかー？」
自分に自分の名を呼んで、甘えるように腕を絡めた。
二階堂はぎょぎょぎょっとわかりやすく身を捩り、離れようとする。
そりゃそーか。自分に擦り寄られても、寒気が襲うだけだよな。
「もー！み、ニカ酔ってんのー？」
グイッと頬を押され、むにゅっと唇まで潰れる。
さすが俺。力つえー。
日頃の筋トレの成果だな。
「いーじゃん！だって、俺ミツ好きだモーン」
なんつって。
悪ふざけにも程がある。
結構棒読みになってしまった戯言を二階堂は目を見開いたあと、受け入れた。
「ふはっ、可愛いーな、ニカ」
悪ノリに加担するかのように、絡めた腕が離され、肩に回ってきて、抱き寄せられる。
「……北山、飲みすぎじゃない」
猫のように甘えて頬をニカの肩へと擦りつけた頃、目の前から低めの声が聴こえてきた。
悪ふざけに嫌気がさしたのか、俺を注意するもの。
やっぱニカには注意しねーのか。
この今の状況の発端は、俺である二階堂なのに。
飲みすぎだと、キツく言われるのは俺の姿の二階堂。
「え？そんな飲んでないけど？」
二階堂は、きょとんと返す。
体は俺だから、アルコールには耐性がついてるはずだ。
ニカは平気そうな顔をしてる。
逆に俺のがちょっと、急にキてる。
立ち上がったからだろうか。
「……取り敢えず、手どければ？ニカ苦しそうだけど」
「……あー、」
やっぱり、顔に出てたのか。
アルコールが今更一気に回ってきた。
「……ニカは俺が送るわ」
藤ヶ谷の溜息混じりの声が遠くに聴こえる。
やべー、瞼が重くなってきた。
ジョッキがブレて何重にも見え始める。
「いいよ俺が送るから」
藤ヶ谷に送られる訳にはいかない。
自分の家に帰りたい。
ニカもそれを分かってくれたのか、藤ヶ谷にそう返してくれた。
「……何で。俺が送る」
「ここからの方向一緒だし。相乗りするのは俺のが適任だし普通に。」
確かに、多分だけど
藤ヶ谷は反対方面な気がする。
ふわり、としかわかんねーけど。
つか、藤ヶ谷そんなにニカを送りてーの？
可愛い弟だから？
ンなにコイツをとりあってると、千賀に妬かれるぞ。
「……ねみぃ」
もう限界。
目をくしくし擦って、バタンとテーブルに顔を伏せると、ひやりと水のように潰れた頬に伝わった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 793人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももは(プロフ) - ふじみつさん» ふじみつさんっ！わわ！いつもありがとうございます！お元気でしたでしょうか？(/ω＼)今作もご覧頂きありがとうございます！嬉しいです|ω`)みっくん傷ついてばかりで…すみません！ホントは傷つく要素0なのですが、苦手なリアル設定物頑張ります…！ (2020年6月8日 18時) (
レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - 途中からすみません！今、みっくんになったニカちゃんがタイピちゃんをご飯に誘って〜〜と言う所です！みっくん傷ついております(泣)。でもホントは…と期待を込めている私です！もう、ニカちゃんやる事お茶目！男らしいし！ももはには珍しいリアル物でとても楽しみです (2020年6月8日 0時) (レス) id: a043f1bcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - みちゅどんさん» みちゅどんさんっ！わわ！いつもありがとうございます！今作もお付き合い頂けて嬉しいです！もう文才なくて泣きそうになってますが、話しを展開させたいので、ない知恵をほじくってます。リアルは特に書くのを止めると書けなくなるので、止めず更新地味に心掛けてます！ (2020年6月7日 7時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - mioさん» mioさんっ！いつもありがとうございます！同じようなテイストばかりですみません(；；)私の好みな感じのお話ばかりなのに、ほんとにいつもお付き合い頂けて、感謝しております…！ほんとですよね！話したら全部解決するんですけど…もう少しだけ焦らさせてください！笑 (2020年6月7日 7時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayuさん» Mayuさんっ！わわ！今作もMayu様にお読み頂けていたなんて、お目汚しすみません(＞＜)嬉しいです！とうとう長年の片想いが叶い嬉しいはずなのに、喜びきれない切なめのKさん。本質のKさんをFさんは求めてるのに、互いに気付けなくて…拗らせ両片思い、後編頑張ります！ (2020年6月7日 7時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももは
| 作成日時：2020年5月19日 20時
