僕らの彼女は猫かぶり。2期 【名前変換オリジナル】

うん。 ページ11

「忘れ物ない？っていうか、服はウチで洗濯するから大丈夫だって」

「いや、洗って返すわ」

最高級仕上げにしとく、と晴は戯けて微笑む。

Aはありがと、と小声で呟いた。

現在7月18日火曜日午前5時。8時からは学校である。

一通り荷物を確認する晴。とはいえ、荷物は自分の服とAの父の服だけだが。

バッグを閉めると、あ、と声を上げた。

Aが不思議そうに首をかしげる。

「どうしたの？」

「お前、空飛びてぇって言ってたよな」

まさか、とAは息を飲む。晴は手を差し出した。

「飛ぶか、俺と」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「やっぱり、ちょっと高いね」

「高いところ苦手なのか？」

俺の質問にAは首を振り、眉を下げて笑う。

「絶叫系は苦手だけどね。高いところは平気。流石にスリル感じちゃうけど」

「……無理すんなよ」

今俺は、住宅街の上空を、Aをいわゆるお姫様抱っこしながら飛んでいる。

首に手を回され、Aの髪が顔に触れる。

＿＿＿＿いい匂いがする。

「っ、ちょっ、急に揺らさないで！？」

「わ、悪ぃ」

俺は勢いよく頭を左右に振り、邪念を振り切った。

なーに考えてんだ、俺。

Aは飛んでいるうちに慣れてきたようだ。ようやく、笑うようになってきた。

釣られて笑みをこぼす。

お前が笑ってくれるなら、俺はなんだってしてみせる。

そう誓った俺だった。

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