42枚目 ページ44
「おじさま？」
「おじさま、ね」
ハハ、と乾いた笑いを零すA。対してリオナは、詰まらなそうに彼を見やる。
やがて、持っていた空色のポーチから小さなナイフを取り出す。銀色のそれは、雲から覗く太陽の光でギラギラと光る。彼女はナイフを口の前まで上げると、Aを見て口角を上げた。
「私、思い出したのよね」
「え、何」
軽やかに距離を詰めるリオナ。背伸びして、Aの耳元で口を開く。
「自分が勇者で、貴方は魔王ってことに」
「うおっ⁉」
ヒュっ、と銀の線が弧を描いて光る。Aの頰からは、髪色に近い紅い血が滴った。
うわあお、とAは目を細める。
「ウチの嫁さん怖い怖い」
「夫は尻に敷くタイプなので」
ナイフに付いた血を丁寧にふき取ると、リオナは夫に向き直った。ナイフを彼の方に向ける。
「貴方は私に相応しくない。魔王と勇者は結ばれない」
「＿＿なわけあるか」
「え？」
魔王が勇者を見る目が、変わる。リオナは少々たじろいだ。後退する彼女との距離を一気に詰めていくA。その目はぎらぎらと綺麗に、でもどこか汚れたように光る。
「誰がそんなの決めたんだぁ？リオナちゃんが？神様が？作者が？」
「……自然の
「あいにくこの国は人工物だらけだろ。自然なんざここにはないでしょーが」
そう言ってAがリオナの手首を持つと、ナイフが手から抜け落ち、落下する。
目が、逸らせない。
「だから、そんなこと言うんじゃありません。おっさん悲しむからね」
「な……によ」
「自然の理だかモンスターのボールだか知らねーけど、俺は魔王だ。全部跳ね除けてやらぁ」
「……」
「だから、さ。泣かないでよリオナちゃん」
Aが頭を撫でるのは、ぼろぼろと大粒の涙を流すリオナ。本人はただただ不思議そうに、Aを見上げたまま固まっている。
「……ごめん、なさい」
「いんや、別に。おっさんメンタルはんぺん並だから！」
ははは、と明るく笑うAに、リオナは抱きついた。やがて呼吸がある程度落ち着くと、クスクスと肩が揺れ始める。
「はんぺんって……強いの？それ」
「強いっしょ。だって鮫だよ、シャークですよ！」
「ふーん。強いのね、貴方」
ひょこっと夫を見上げた彼女は、少し清々し気な面持ちだった。
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モモハ(プロフ) - 鬼羅.。さん» うおお、めっちゃびっくりした。ありがとね(*'▽') (2018年8月3日 20時) (
レス) id: 7ea4a0fdca (このIDを非表示/違反報告)
鬼羅.。 - 一位おめだぜ！本当に応援してる！これからも楽しみにしてるから！頑張ってね！一言ですまんぜ！ (2018年8月3日 20時) (レス) id: a6f636573d (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - うららkさん» ありがとうございます(*´∇｀*)！先日はアドバイスいただき本当にありがとうございます。うまくできてるかわかりませんが、これからも頑張りますのでよろしくお願いします！ (2017年11月8日 20時) (レス) id: c93a555509 (このIDを非表示/違反報告)
うららk - おお！ １位おめでとうございます！ 陰ながらあなたの作品をいつも応援しています！ 更新頑張ってください。こんなに面白いのはあまり読んだことがないので、ワクワクします！ (2017年11月8日 18時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ことね提督 元燐華さん» めっちゃ嬉しいです(｀・∀・´)ありがとうございます！ (2017年10月28日 17時) (レス) id: c93a555509 (このIDを非表示/違反報告)
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