俺は魔王で嫁が勇者で命狙ってくるってもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】

31枚目 ページ33

「ルシア」

「何、旦那様」

じりじりと詰め寄り、双方譲らない夫婦。子供に魔法をかけたい妻と、止めたい夫だ。子供は子供で、従者と二人で砂遊びをしている。

「おー、見てみて！……えっと」

「わしのことはじっちゃんとお呼びください。いやぁ、孫みたいで可愛いですなぁ！」

赤毛がきらきら輝き、鼻に砂の付いた子供は、うん、と頷き両手を勢いよく上げた。

「ほら！築56年そろそろガタが来ていて建て替えたいも金が足りず困る大家が家賃引き上げようとするもそもそもとして住人がいないボロアパート！！」

「ぼっちゃん……2歳にして何という発想力、滑舌！これは将来有望ですなぁ」

がっはっは、と盛大に笑う従者、ガラン。こう見えてラギファルト大帝国史上最強の騎士であり、ベテランである。RPGゲームでいうところの門番だ。妻子はおらず、恋仲の者も一人とて居なかった。もちろん貞操は守られている！

一方、リスト達。

両者譲らないなか、ふいにルシアが笑い出した。リストが肩を揺らす。

「＿＿まあ、別にあの子じゃなくてもいいんだよね。ってことで、【リ・ベーラ】！」

「なっ⁉」

完全に隙を突かれたリストに、紫の魔法陣が降りかかった。倒れた魔王から、ほんのりラベンダーの香りが漂う。

「あ、リスト。服の洗剤変わったみたいね。私ラベンダー結構好きかも」

「んん……我は嫌いじゃ」

え、とルシアの動きが止まる。魔法陣の中から出て来たのは。

「む、どうしたルシアよ。……服でかいんだけど！？」

ちっちゃい(笑)魔王サマでした。

「かっこわら付けるでない！」

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