俺は魔王で嫁が勇者で命狙ってくるってもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】

13枚目 ページ15

「これはこれは。新たなる魔王様。お会いできるなど身に余る光栄で……」

「お前クビな」

「は？」

俺の前にどっかりと座り込む、俺より老けたじじい。ぶよぶよな体つきに、王様のイメージの白い顎髭。そして、びっくりするほどの悪人面。よく宰相やってこれたな。

ぴきり、と額に血管を浮かび上がらせつつ、鋭い紺色の瞳が俺に向けられた。はっ、と嘲笑う声が聞こえる。

「何故ですか？貴殿は魔王になって日が浅い。政治はまだ早いと心得ておりますが」

「俺も政治はしたくねえなあ。アルくんできない？」

「私はあくまでも執事ですので」

ソファの後ろにお行儀良く立つアルくんは、ぺこりと頭を下げた。そっか、まあそりゃそうだよな。

俺はルマンド宰相に負けないくらい偉そうに、のけぞりつつソファに座りなおした。足を組んで、うぉっほん、と低音で咳してみる。ダンディーだろ。

でしょう？と勝ち誇ったようにルマンド宰相が笑う。俺は満面の笑みで立ち上がった。

「まっ、今のところはあんたに任せとくわ。俺が代わりの人連れてくるまでね」

「……左様でございますか」

「おう。だから、荷物はまとめとけよ？」

勝手に退出する俺に、慌ててついてくるアルくん。ルマンド宰相は知らん。

なんか、嫌な予感がする。

俺は書類畑(デスクワーク)に戻って行った。

誰か助けて。

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