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174枚目 ページ41

やんややんやと騒ぎ声が耳朶(じだ)を打つ。

身体に手拭いを巻き付けた私たちは、さてどうしたものかと男湯に続く塀を睨めつけた。(ひのき)か何かで出来ているのだろうその木の壁は、ほんのりと落ち着く匂いで鼻を突く。


「お、お后様、どどどうしましょうぅ……」


おどおどしながら眉を下げるソフィを一瞥し、ふと目を瞑る。髪から雫の滴る音だけがこの場を支配して、神経を集中させた。私の行動が腑に落ちなかったのだろう、姫はこてんと首を傾げた。


「あの、リオナ様?どうかなさいましたか?」

逆上(のぼ)せたなら、先に上がっててもいいよ。あたしらがどうにかするから」

「いいえ」


日向ノ国の2人の言葉に眼を開き、ふと口角を上げてみせた。


「ちょっと、心の準備をしてただけよ。」








「【ハ・ファール】!」

「「しつこい。」」


淡々と打撃を与えようと襲い掛かる双子と、腰に手拭いを巻いたのみの装備で魔法を使って回避するロンド。Aは取り敢えず逆上せたままのヤマトを庇うように、彼の前に立ったまま呆然とその戦闘に見入っている。

魔力が回復したといえど本調子ではないらしく、逆上せ始めたのだろう。ロンドは度々苦しげに顔を曇らせた。Aはせめて声援でも送ろうと息を吸い込むが、ロンドが放った風魔法の流れ弾が隣の岩場を爆砕した事でそのまま空気を飲み込んでしまう。後でゲップは確実だ。

不意に、ロンドが湯の中で足を滑らせた。目を見開いた魔導士は、眼前に双子の凶拳が迫るのを確認する。


(しくじった)


こんな時に限ってやけに冷静にそう思い、湯に落ちる瞬間に全身の力が抜ける。これは死ぬわ俺、と諦観したその矢先。


「……っ」


じゃぼん、と湯の中にダイブしたにも関わらず、双子からのダメージが感じられない。精々床に頭を打ち付けて痛かったくらい。完全なる自業自得のみだ。

不思議に思ってゆっくり上半身を起こすと、そのままギョッと目を見張った。

双子はまるで機能していなかった表情筋を引き攣らせ、苦痛にその面を染める。腕からは血が滴り、服はその部分だけ裂けていた。

その更に先に置かれている状況に、思わず呼吸が止んでしまう。

これ多分夢だな。


「揃いも揃って、何よこれ。男のクセにだらしないわね」

「ほ、本当には、入っちゃった……!」

「落ち着いて、変態は気を失ってるから安心よ」

「そこの従者さんは無事ですか?」


男湯に手拭い一枚の女たちが居る。

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設定タグ:男主 , ラブコメ , ギャグ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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モモハ(プロフ) - そらもちさん» あざーっす!アッもしかしたら中だるみなんでもないッス!てへ!(棒) (2019年4月28日 11時) (レス) id: 98af2b3beb (このIDを非表示/違反報告)
そらもち - 面白いっすね!続編も読むぜよ(`・ω・´) (2019年4月28日 10時) (レス) id: 35f31302c7 (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ひかげのこさん» ありがとうございます!めっちゃ張り切ります(*´ω`*) (2018年12月12日 17時) (レス) id: 0785378cec (このIDを非表示/違反報告)
ひかげのこ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!更新頑張って下さい! (2018年12月12日 15時) (レス) id: 256366ff3c (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» がんばります!(テストヲヤッツケタラ() (2018年10月8日 18時) (レス) id: 937a2c5722 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モモハ | 作者ホームページ:o(`ω´ )o  
作成日時:2018年4月22日 21時

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