168枚目 ページ35
「ほう、早速何事かあったようじゃが。そなたらの家臣も関与しておるよのう」
扇を口元に当て、くすりと艶めかしく笑んだミヤビ。その前に立つはしょげ返ったAと毅然とするリオナ。その後方には肩を窄めるルイカの姿もある。
最初の謁見と同じように、ただ、ロウエンが不在の中で淡々と女帝が言葉を紡ぐ。スオウは腕を組むと、端正な顔を少しばかり曇らせて3人を見下した。
「これだから心配してたのよね。お陰でお祭りは大混乱よ大混乱。それに、アンタたちの家臣に至ってはアタシが居なかったらどうなっていたことか」
「お言葉ですが」
一方的な説教に反感を抱いたのか、頼りにならないAの横からリオナが進み出た。
「家臣たちを襲った者は、そちらの問題でしょう。むしろ巻き込まれたのだから、私たちが怒るべきでは?」
「そ、それな!リオナナイス!」
「Aは黙ってなさい」
一瞬だけ顔を輝かせたAが再びしょぼんとするのを見届け、再度リオナはミヤビに向き直った。女帝は扇で顔半分を隠したまま、目線だけをリオナに伏せる。
「さっきから聞いていれば、随分と上から目線ね。そんなにラギファルト大帝国に喧嘩でも売りたいなら、果たし状でもなんでも持って来なさいよ」
「ま、待ってください」
会話に割り込み、リオナの前で両手を広げたのはルイカ。包帯で目元こそわからないものの、眉をひそめていることは見て知れた。
「違うの。お母様は、ただ」
「あっこらルイカ様!」
先を予見したスオウが慌てて静止を試みるも、ルイカはそのまま続けた。
「お母様は、ミオ姉様が大好きだったから」
「……」
周囲に沈黙が広がる。
「だから、大帝国に行っちゃったのが悔しくて、それで…………」
必死に言葉を紡いでいたルイカも流石に違和感に気づいたのか、ふと唇を閉じた。恐る恐る背後に鎮座する、ミヤビに振り返る。
「もう、良い。下がれ皆の者」
「お、お母様」
「下がれ!!!」
頬を上気させたミヤビは、両手で扇をべきんとへし折りながら訴える。皆が凄みつつ後退すると、勢いよく立ち上がった。
「兎に角、妾は疲れたのでな!リオナとやら気に入ったぞ!」
口角を歪めながら、ミヤビはリオナに目を細めた。
まるで、狙いを定めるかのように。
「そうじゃ、妾はそなたらのことが気に食わん。じゃが……襲った者を捕らえよ、さすれば気は変わるかもしれん……どうじゃ?伸るか反るかはそなた次第じゃぞ」
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モモハ(プロフ) - そらもちさん» あざーっす!アッもしかしたら中だるみなんでもないッス!てへ!(棒) (2019年4月28日 11時) (レス) id: 98af2b3beb (このIDを非表示/違反報告)
そらもち - 面白いっすね!続編も読むぜよ(`・ω・´) (2019年4月28日 10時) (レス) id: 35f31302c7 (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ひかげのこさん» ありがとうございます!めっちゃ張り切ります(*´ω`*) (2018年12月12日 17時) (レス) id: 0785378cec (このIDを非表示/違反報告)
ひかげのこ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!更新頑張って下さい! (2018年12月12日 15時) (レス) id: 256366ff3c (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» がんばります!(テストヲヤッツケタラ() (2018年10月8日 18時) (レス) id: 937a2c5722 (このIDを非表示/違反報告)
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