144枚目 ページ11
「す、すごい……」
かっこいい。と、イザベラはヴァレンタインに視線を集中させる。
ハイカラな音楽に乗せて紡がれているこの詩も、聞けば彼が作ったもの。イザベラは他の観客を頭から消し去り、ただ聞きほれていた。灯りが彼の黒髪を艶やかに照らす。衣装がとても映えるその姿に、隣に居たシルヴァが目を丸くするのにも気づかずに叫んだ。
「ヴァルー！いいぞー！！」
たくさんの国民の歓声と音楽で、絶対に届くことはないその声。
しかし、偶然か必然か。ヴァレンタインは自分の名を呼んだ少女をまっすぐ視界に捉えた。
にま、と笑い、歌ったままウインクして他へと目を逸らす。
たったそれだけのことだったが、思春期の女の子の心を揺さぶるには十分なところでもあった。
顔を熟れた林檎のように赤くさせ、ふと舞台から目を逸らしたイザベラは、異様なものに気付く。
「……ボール、か？」
じっと目を凝らし、遠くから飛来する球体に注目した。ゆるやかな弧を描きこちらへ落ちてくる。観客の居ないところに落ちる軌道の為、放置でいいかと目を舞台へ戻そうとした矢先。
「えっ」
軌道が狂い始め、先ほどのゆるやかさとはかけ離れた、隕石を思わせる速度で舞台へと落下する球体。それは舞台の袖へと消え去っていく。
国民の大半もその様子を目の当たりにし、異様な光景だと捉えたようだ。歓声とはまた違ったざわめきが辺りを支配する。
球体が袖に消え、鈍い音の後。青年の苦しみ悶える声と、鮮血が舞台より飛び出した。ヴァレンタインたちの顔つきも神妙なものとなり、そこは重い空気へと様変わりを遂げる。
「まさか、ネオンさんに当たって……！」
「その可能性が高いわね」
愕然としたイザベラの声に、しっかりとした声で応じたシルヴァ。妹の手を取り、前の民へすいません、と言いながら舞台へと近づく。未だ頭の働かないイザベラに、姉は言った。
「まずいわ、国民が動揺してる。ネオンさんも、アルフさんたちもなんとかしないと……さあ、急ぎましょう！」
「……う、うん！」
姉妹は色とりどりの照明が照らすそこへ、駆けて行った。
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モモハ(プロフ) - そらもちさん» あざーっす！アッもしかしたら中だるみなんでもないッス！てへ！(棒) (2019年4月28日 11時) (
レス) id: 98af2b3beb (このIDを非表示/違反報告)
そらもち - 面白いっすね！続編も読むぜよ(｀・ω・´) (2019年4月28日 10時) (レス) id: 35f31302c7 (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ひかげのこさん» ありがとうございます！めっちゃ張り切ります(*´ω｀*) (2018年12月12日 17時) (レス) id: 0785378cec (このIDを非表示/違反報告)
ひかげのこ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！更新頑張って下さい！ (2018年12月12日 15時) (レス) id: 256366ff3c (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» がんばります！(ﾃｽﾄｦﾔｯﾂｹﾀﾗ() (2018年10月8日 18時) (レス) id: 937a2c5722 (このIDを非表示/違反報告)
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