俺は魔王で嫁が勇者でギャグ小説ってもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】

133枚目 ページ45

俺の胸にしがみついて、綺麗な瞳を潤ませ、顔を覗き込んで来る系女子のリオナちゃん。

落ち着け、俺。さあ、じっちゃんの入浴シーンを回想するんだ。

よぼよぼのしわしわの痩身。腰にタオルを巻いた、つるつる頭のジジイ。プルプルしながらドラム缶の風呂に身体を入れる。確か右足からかな、知らんけど。

「あー、気持ちいいー……」

ほんわかするじっちゃん。元気かな。

よし、落ち着いたぞ。俺は落ち着いた！

そんな風に己を抑え、空を眺める俺に対して、リオナちゃんはまた肩を揺らす。

「ふふっ。なあに、あんたもしかして私に惚れてんの？まじ卍なんですけどやっば〜」

「ねえなんでギャルっぽいの」

チョベリグとか死語だし使ったらアレだからな。

リオナちゃんは俺から少し離れると、いつもとは大違いの、小学生並みのニコニコ笑顔になる。ニッと見せた歯は真っ白だった。手入れ行き届いてるね。

「んふふ、可愛い？きゅんっとした？そんな顔で見ないでよ〜。恥ずいんだけどまじでー」

「こないだMeTubeで見たBunnyworksの曲でそんなんあったわ。俺よくわかんないけど」

彼女は桜の樹に駆け寄ると、上機嫌で鼻歌を歌い始める。その様子は年相応な感じがして、俺はしばらく彼女を見守っていた。

そう、警察が俺のもとにやってくるまで。

「あの〜、すいませんそこのおっさん」

「はい？」

うわ、はいって言っちゃったよもう。俺が自分のことおっさんって思ってるって証拠じゃねェか。

振り返った先にちょこんと立っていたのは、犬耳のついた桃色の短髪の女の子。また、後を追いかけてくる同じく犬耳の金髪の青年が見える。二人とも青を基調としたきちっとした制服のようなものを着ていた。

女の子は手帳を取り出しながらへらっと笑ってこう言った。

「お巡りさんです。先程通報があったんですけど、少女を抱きしめた後も尚、尾行して盗撮してるキモい赤髪のおっさんって、貴方で間違いないですかね？」

女の子が言い終わると、おいっと横から男の子が注意する。

「お前なあ、キモいは悲しむだろおっさんが。もうちょっとこのヘンタイストーカーおっさんの気持ち考えろ、どうせ牢屋行きなんだから」

とてつもない速さで罵倒されたんだが。主に男の子の方に。

「ち、違いますよ〜」

「はい、汗の匂い感知。嘘ついたら汗出るって知ってる？はい逮捕ー」

いやさっき走ったからだし。この国の警察適当だなオイ！

魔王様、逮捕(！？)

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