83枚目 ページ41
「……お、
「流石ヴァルくん!」
「姉さんは何処に行った」
俺がにやりと二人を見ると、寒さで鼻の頭を紅くした彼らは嬉々としてこちらを見ている。ちょっと犬っぽいね、お嬢さんがシェパードとして主はブルドッグかな。あはは。
俺は半ばドヤ顔で、裏路地に落ちて居た紙切れをちらつかせる。開いてみれば、それはお姉さんを連れ去った人たちの作戦書のようだった。それには、こう記されていた。
『[シルヴァちゃんと一緒]計画
17:00 花屋閉店準備開始
→一般客を装い拉致(睡眠薬使用)
〜19:00 トグロの家に集合 睡眠薬解除剤投与
〜21:00 晩餐会 シルヴァちゃんとご飯♡
0:00〜 俺たちの愛を伝える♡♡
*これは断じて愚かな誘拐事件などではない。神聖なるシルヴァちゃんと一緒になる為の盛大で誇り高き俺らの愛のある
「ヴァル、これ……」
「あ、初めて呼んでくれたね。嬉しいなあ……って言いたいトコだけど……」
「愛を伝えるって、マズイんじゃね?ヴァルくん、今何時?」
「んー、23:30ってところかな」
あと、30分。
俺は顔面蒼白のお嬢さんの顔を覗き込み、話しかける。
「お嬢さん、トグロって人の家わかる?」
お嬢さんは顔を陰らせたまま、死んだ目で、どこかを睨んだまま応えた。
「わかってるに決まってる。彼奴は……姉さんの元彼だからな」
「うわあ、モテるんだね。お姉さんもお嬢さんも」
「まあな」
そう答えたお嬢さんは静かに家のある方と思われる方角を睨みつける。主がよし、と意気込んだ。
「さっさと行ってババっと助けますかねぇ!いずれはこの国を担ってくれちゃうかもしれないし!」
「あ、主は駄目だよ?」
え゛、と硬直した主に、俺は戯けて笑う。そのまま彼に顔を近づけ、小声で耳打ちした。
「当たり前でしょ?魔王様はそろそろ帰ってくれないと。もしトグロって奴が貴族階級でさ、相手に魔王ってバレてたら一悶着どころじゃない騒ぎが起こるよ」
「え、えぇ〜?いやでも俺仮にも主人公だし」
「
「は!?」
俺は主の額に人差し指を当てると、ふっと真顔に変わる。真剣に彼に語りかけた。
「は、じゃなくて。ホントにダーメ。主は連れてけない」
「なんで……」
「わかってるでしょ」
貴方はお荷物なんですよ。
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866 - モモハさん» どーいたしまして!! (2018年7月15日 20時) (レス) id: 4d6199feac (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» ありがとうございます!そう言っていただけるともう、あれです、昇天します()ありがとうございます! (2018年7月15日 16時) (レス) id: 7ea4a0fdca (このIDを非表示/違反報告)
866 - たまにメタなとこが出る、それがいい!! (2018年7月15日 7時) (レス) id: 4d6199feac (このIDを非表示/違反報告)
866 - 凄く面白いです!! (2018年7月15日 7時) (レス) id: 4d6199feac (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - リックンさん» そうなんですか、最近低浮上気味なんですが……これからも頑張ります(*´∀`*) (2018年6月27日 21時) (レス) id: c93a555509 (このIDを非表示/違反報告)
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