葉桜の幻想

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もちろん担当者とも連絡がついていた。
なのに、今日になって担当者が怒鳴りこんできた。


話を聞いたところの推測に過ぎないが
社長に聞いてないと担当者が叱られたんだろう。
だから、担当者は自分は知らないと俺に責任をなすりつけてきたことが窺えた。


別に悪者になるのは構わないけど。


リース契約を延長するのかという提案も、
こっちのミスだから一ヶ月だけ無料でリースしろ、それから返却だと無茶苦茶な事を言われる始末。



どうすりゃいいんだよ。



そんなこと出来るはずもなく、板挟み。
取り敢えず事情を聞きに行くため、急いで他の書類に目を通す時間もなく社用車で向かった。



担当者の顔を立てるため、説明不足だったと非を認め頭を社長に下げる。
社長は、担当者に席を外させた。


舐め回すように見てきて、
接待を強要された。


俺は何でかそんな風にオッサンから強要されることが何度かあった。
頼みやすいんだろう。


女の子の店にでも行きたいんだろう。
カモにされる。


また始末書だなあと思いつつ、その接待の約束をした。
領収書切れるように所長と経理部長に頭をまた下げなければ。



この処理の方法が合っているとは思わない。
でも正解が分からない。
助けて、なんて言えない。


大倉なら、もっとちゃんと乗り切れるんだろう。


でも、その接待のおかげでリース契約が一年延長した。それならそれでもういいか…と。
新しい複合機への提案は止めて、そのまま帰社した。



接待の事はまた怒鳴られたが、
一人では接待を出来ない決まりになっている。
課長は叱りながらも、鼻の下を伸ばしていた。
「私が同行しよう」と。
結局自分だって、女の子のお店に行きたいだけじゃん。



理不尽に叱られて、半日以上過ぎた。
昼飯の時間も取れぬまま、もう14時になっていた。



今更昼に行きます、とも言い出せず空腹のまま残りの業務にとりかかる。



そこで、もうひとつミスが発覚した。
社内のネットワークを開くと、
今朝とは違う他の会社の契約更新の請求書を稟議に上げていたのだが、そこで税抜込の表記ミスがあったと差し戻されていた。



そこには、メモも添付されていた。
「いつまでこんな子どもみたいなミスをしてるつもりだ」と。
税込でこの額ならほぼほぼ原価だ。
何やってんだ、自分。



カタログを確認しつつ、請求書を作り直す。
ミスをすると仕事が増える。



数字がとれないくせに、事業所で誰よりも俺はバタバタと忙しなかった。

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