囲われたミツと花【前編】

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話し合うこともせず、その夜、何度も太輔を受け入れた。意識が飛んでも、奥を突かれ続け、意識を戻すように揺さぶられる。
狂ったように、求められ、抱かれた。



「話を聞いて」と訴えれば、それを揉み消すかのように、また始まる。しまいには、何も話せないように、口にタオルを入れられた。
漏れる声は、もう言葉じゃなかった。
ただ雄を受け入れる雌のようだ。
本能だけが、存在していた。
理性など、なくなっていた。



目を覚ますと…太輔が隣に居た。
時計を見ようとすると、時計がなくなっていた。



「時間なんて、ここでは必要ないだろ」
「…会社は？」
「んー？休んだ。退職しようかなと思う。」
「……、なんで」
「家で出来る仕事を見つけようかと。両親の不動産業を手伝ってもいいし」
「………太輔が仕事嫌なら…俺が働くよ」
「…宏光さ、宏光を雇ってくれる会社があると思ってんの？」
「……え」
「高校中退してさ、その後10年も引きこもって、バイト経験すらない。そんな奴がさ、この都内で生活する程稼げると思ってんの？」
「………」
「どうせバカにされて白い目で見られるだけだよ。生活できるほど、稼げないし。ちゃんと自分の立場を知った方がいい」
「……立場、」
「アイツに何吹き込まれたか知らねえけど、現実はそんなに甘くねえの。だから、俺に全部任せてくれればいいから。ずっと一緒にいれるようにするし、寂しくもさせない」



現実を叩きつけられて、夢見る自分が恥ずかしくなった。太輔の言う通りだ。玉ちゃんのとこのバイトだけじゃ生活はきっと出来ない。
今は、お情で雇ってくれてるだけだし。



本当に外に出るなら…違う場所で、そう言った偏見の目で見てくる人とも一緒に働かなければいけなくなる。太輔ほど稼ぐのは絶対無理だ。





「宏光、安心して。貯金はあるから。これからはもっとずっと一緒にいれるよ」
「…うん」



腕の中に閉じ込められる。
褐色の肌。玉ちゃんとは、違う。



玉ちゃん………



太輔は、ケーキを結局食べてくれなかった。
食べたと俺には言っていたけど、
生ゴミの中へと捨ててあったのを偶然に見つけてしまった。



桃が悲しくも、透明なフィルムに包まれていた。



外に出たいなんて、言えなくなってしまっていた。



太輔の母ちゃんが迎えに来て、あんこも戻ってしまった。また、以前のように太輔と2人の生活に戻る、それが何故か息苦しく感じてしまっていた。



「今日は、ソファでシて？」



昼夜ずっと…

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