今夜君が欲しい【中編】

94 K ページ44

「覚悟して」


そう今度は俺の耳朶を舐め、甘く齧った。


次の瞬間、俺は激しく身体を反転させられ、ベッドの上に四つん這いの姿勢になっていた。


なっ…！
抵抗しようとしても、上から強く手のひらで押さえつけられる。



その力に抗うのを止めると、途端に今度は、腰を高く上げさせられ、下へと移動していた藤ヶ谷の顔の目の前に突き出す形となってしまった。



ぴちゃりという卑猥な音とともに、後孔に濡れた感覚が走った。



「あっ……！」



思わず身体をずり上げようとするが、腰を強く押さえつけられていて、動けない。


ぴちゃぴちゃと厭らしいような音を立てながら、藤ヶ谷の舌が、俺の後孔を舐めまわし、中まで侵入してくる。



「舐めたらヒクヒクしてる。可愛い。」



そう言いながら、俺自身をまた握りしめてくる。
指から抜かれた指が、今度は輪っかを作り…手のひらと一緒に、自身を通して、俺に快感を与えてきた。



「…やだって、ふ、藤ヶ谷っ！もう、」
「初めてだから、ローションいるでしょ？」
「……なっ」
「北山は、ローション持ってないと思うから、北山のコレをもう1回出して？
それを、じゅん滑油にするから」



藤ヶ谷だって、息は上がってる。
限界そうな仕草を感じるのに、彼は俺の中に快感を求めすぐに、入って来なかった。



「北山を傷つけたくない。気持ち善くしたい」



………あ、



「あれ？北山のココ、もうパンパンだね？出そうなの？」



藤ヶ谷の”気持ち善くしたい”その言葉に、後ろも、前の昂りも、疼き膨らんでしまったのが自分でも分かった。



藤ヶ谷の卑しい声が、耳元で聞こえる。
藤ヶ谷の上下に擦る手が、早くなる。




「んんっっ、……、あ、ちょっ…、イクっ！」




その指先が、自身の先端を弾いた瞬間、頭の中が真っ白になり、精液がソコから勢い良く飛び出した。
2回目、とは思えない量が、藤ヶ谷の手のひら、指先とシーツを汚す。




「…コレで、北山の中を傷つけないね」



また、そう言って、消毒するかのようにざらついた舌は這い、首筋にチクッと強く吸い付いた。
そして、真っ白になった思考が、戻ってきた頃には、藤ヶ谷の指先は俺の出した精液を掬いとり、後孔に濡れた指先を挿入していた。



混じり合う、自身の精液と藤ヶ谷の唾液。
そして、これが藤ヶ谷のソレで掻き乱されるんだ。



深く、深く、突いてほしい。
求め出す、身体。



その感触に....ぞわりと、背筋が弓なりになる。

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