今夜君が欲しい【中編】

93 K ページ43

アンタは、俺に勝ったんじゃない。
俺が、アンタに勝ったんだ。
ヤラれる振りをして、喰うのは俺だ。



アンタを快楽の世界へと落として、
もっと深く嵌らせてやる。心だけでなく、身体も。



沼から、抜け出せなくなるように──…



足掻いても這い上がる事なんて出来ない、底なし沼に。溺れさせる。


溺れるのは、俺じゃねえ。



「これから、俺がアンタを犯す」
「……は？…だから、俺は北山の中に、」
「分かってる。入れるのは、藤ヶ谷だ。」



俺の言葉に藤ヶ谷は安心したように、眉を下げながらも、訳が分からないと想っている藤ヶ谷の視線はしっかりと俺を射抜いていた。



「もう……入れたい、北山。」
「いーぜ。もう入れろよ。藤ヶ谷のソレを俺の中にぶち込んで、俺ナシでは生きていけないように、な」



啼かせてやる。はァと甘い吐息を混ぜ、耳朶を噛んだ。それだけで、俺の腿を押し付けていた藤ヶ谷の自身はビクッと更に震えた。



＊


「北山…」



入れたい、と言ったくせに。
藤ヶ谷は、太腿の内側に押し付けてくる藤ヶ谷自身を入れず、指を何本か射し入れ、ぐちゅぐちゅと音を立てながら、掻き混ぜてくる。
指が中で動き回る。それは、明らかに、奥の裏側…男が一番気持ち善いだろうとされるソコを避けるように。


ギリギリ、手前を指で引っ掻いてくる。




「……ん、っ......はっ、あっ、藤ヶ谷、ソコじゃねえ…もっと、」

「ん？何処？ココだって、北山気持ち善さそうだよ？涎まで、垂らしちゃって」




焦らしてるんだ、
コイツは、自分自身がずっと恋人から受ける方だったからか、何処が気持ち善いか、焦らせば限界がくる事を、まるで熟知しているかのような、指の動きだった。



ダメだ、触ってほしい。突いて欲しい。掠めて欲しい、引っ掻いてほしい。



「ふじ....がや───…」



もっと、太いのが欲しい。
細い指が3本では足りない。
例え長い指でも、長さが足りない。



藤ヶ谷の大きい、ソレで────…



「だって、解さなきゃ？」
「必要....ねえよ。俺は今夜だって、ぶちょ」
「北山。それ以上言ったら、この指、食い込ませるよ？」
「………なっ、」
「北山は今夜、オトコは初めてなんだから。だから、しっかりと解してあげる」




藤ヶ谷の人を殺めてしまった後かのような鋭い視線は俺を捕らえ、同時にジリジリと首元に触れてたもう片方の手の親指が俺の喉へと食い込んでくる。




俺は、どうやら初めてらしい。
そういうプレイなのか。

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