今夜君が欲しい【中編】

67 K ページ17

藤ヶ谷の温もりが背中から離れたかと思ったら、腰を掴まれ、身体を反転させられた。


その視線の先にも藤ヶ谷は居らず、藤ヶ谷のツムジが見えた。藤ヶ谷は立膝をついていた。



「……っな、何してんだよ！」
「収めてあげる」



藻掻く俺の腕を腰ごと両手で抑え込む。
どういう訳かベルトのバックルまで外れていた。
いつの間に…？！
そして、俺の下半身の目の前に顔を向けたかと思うと



「………おいっ！」



スラックスのジッパーの先をあろうことか前歯で挟み下ろしていく。



視覚と感覚が捉える。
俺自身を藤ヶ谷が口に含んだ事を。



「ちょ、っ……藤ヶ谷！やめろっ…！」



下半身から目が眩む様な快感が走り抜ける。
俺の股の間に藤ヶ谷はひざまずき、俺自身を舐めたり、しゃぶったりしている。



目の前に広がる余りにも想定外の光景に身体が動かない。その快感に脳も考えるのを止め、痺れ出してくる。



「北山の、可愛い。でも結構大きいんだな。どんどん大きくなってるけど？」



もう情欲に侵食されている藤ヶ谷の瞳は、目の前にいる俺しか入っていないんだろう。



考えろ、考えろ
快感に流されるな。



俺のモノを咥えたまま、藤ヶ谷が見上げてくる。



その前髪から覗く目と目が合った時、びりっと電流が走ったような快楽が抜ける。



舌だけではなく、手も合わせて扱いてくる。
藤ヶ谷の唾液でぬるぬるになったそこは滑りがよく、もう気持ち良さしか拾わなくなっていた。



「あっ、んっんっ…！」



声を出したくなくて、押し殺す。



「此処、防音だから声出していいよ？声、聴かせて？」



下からそんな甘い声が聞こえてきて、
一層脳が痺れ出す。



キスした時も思った。


この電流がぱちぱち抜けるような感覚は一体なんなんだ、と。



身体なんて、要らない。
心が先に欲しい。


自分の大切にしていたポリシーさえも藤ヶ谷は、壊していく



「…離せ、」
「強情だな。もうイキそうだろ？」



藻掻いても、抑え付けられる。
藤ヶ谷の全てに。



「出るからっ、離せ…！」



正直両足をついて立ってるのも辛い
身体を仰け反らせながら、激しい射精の快感に身を震わせた。



ゴクリ、と何かを飲み干した音が聞こえる。
飛ばしそうになっていた意識はその音で我に返った。



「…呑んだの…か？」



息を整えながら、問いかける。
もうその場に座りこんでしまいたかった。


立ち上がった藤ヶ谷は俺のを飲み干したその唇で俺の唇に口付けをした。

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