恋は何歳まで出来ますか？

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周りの迷惑など考えられず、自分の気持ちに忠実な子供。どんなに叱られても、抑えられなかった。


電話をかけると、宮田は何コールかして出た。


宮田もベットの上のようだ。
…どこのだよ。いや、よく見るとソファーか？
画面に映った宮田は、二階堂さん同様、半目だった。
ムカつく顔してるくせに、宮田の顔を見ると胸は苦しくなる。


「おまえ、どこにいんだよ！」


まるで、恋人の帰りがなく怒ってる奴みたいだ。
そんなことさえ、気付かずに…感情のまま発していた。


おかしい、オレはこんなにも感情を人にぶつける奴じゃないのに。
自分が自分じゃないみたいで、気持ち悪い。


『んー、家』
「宮田の家はここだろ！」


20も違うオッサンに朝からオレは…
何を痴話喧嘩みたいなことを吹っかけて…
でも感情に忠実な口は止まることを知らない。


『あー…だね。ごめん、元自分んち。花ちゃんのとこ』


…花ちゃん。
それは元妻だ。
つーか、ちゃんって何だよ！
なんで、ちゃん付けで呼ぶんだよ！
気持ち悪い！


って、健ちゃんには抱かない想いを抱いてる自分が一番気持ち悪い。



「なんで…」


そっちに戻るんだよ。
相手は裏切った奴だろ？
おまえの気持ちを踏みにじった奴。


ずっと、待ってたのに。米の保温時間は10時間に変わっていた。
炊きたて…じゃない。



『ごめんね、ガヤさんたち旅行だって言ってたし、裕太くんも一人で羽を伸ばしたいかなあって思ってさ。』

「だからって、元妻のところなんて…！」

『ちょうど忘れ物を取りに行きたいのもあったし、花ちゃんに連絡したら…今日恋人は来ないからいいって』


連絡すんなよ！
忘れ物なんて、諦めろよ！
何ノコノコ裏切り者のところに足を運んでんだよ！


それに花ちゃんも受け入れんなよ…
ああ、もう…！


「…何も、なかったの？その元妻とは」
『ん？なかったよ？ソファーで寝たから、腰バキバキ』



画面の向こうは、ソファーのようだった。
チラッと見えた足の先は、モッコリしたものの上に置かれていた。



「早く帰ってこいよ。腰、マッサージしてやるから」
『え？』
「カレーだって、あるんだからな！30分以内に帰ってこいよ！」


そう言って、勢いよく終了ボタンを押した。


"花ちゃんは特別だから"


そうだろうね。自分の資産であるマンションを差し出してしまうほど。


腹の虫はおさまらないけど、炊飯器のお米はラップに包み冷凍庫に突っ込むと


またバカのひとつ覚えのように、米を研いだ。

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